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育成3年目の“ミニギータ”大本将吾 「あまり期待しないで下さい」発言に秘められた思い

文春野球コラム オープン戦2019

2019/03/01

 春季キャンプ中のある日の午後、B組の個別練習を見に行った時の事でした。

「え、ギータ?」

 遠くに見えたそのシルエット。視力が悪いのに裸眼な私は、目を凝らしながら近寄りました。“一回り小さいギータ”のように映ったのが率直な感想でした。そこにいたのは 身長187cm、体重91kgの鷹の主砲・柳田悠岐外野手と比べても、186cm、96.7kgと遜色ない鷹の次世代大砲候補・育成3年目の大本将吾外野手でした。……って全然一回り小さくない!(笑) デカいのに脚が長くシュッとした感じと豪快なフルスイングが柳田選手っぽく感じさせたのかもしれません。

 ちなみに、ミニじゃないのに“ミニギータ”に見えた理由は、大本選手が昨季から5キロ程痩せていたからというのと、本家ギータが偉大過ぎるからなのかなと思いますが、とにかく“ミニギータ”というフレーズがピッタリだったんです。“ミギータ”(真砂勇介選手)の次は“ミニギータ”にも注目して欲しいということで、今回は大本選手のことを書こうと思います。

ギータの3150ポーズをとる大本将吾選手 ©上杉あずさ

プロ入り前からのギータファン

 この日、大本選手はバックネットに向かって新井2軍打撃コーチに高めのトスを上げてもらってバッティング練習をしていました。角度がついた力強い打球をガンガン打ち込んでいて、その打球がネットの上方にあたると、勢い余ってネットを伝って、私が見ていた客席の方にまで何球も何球も飛んできたんです。明らかにレベルアップしていた迫力あるバッティングに惚れ惚れしました。

 新井コーチによると、大本選手が苦手とする高めの球に対応するための練習だったそうです。「プロは高めの速い球に対応できないといけないが、大本選手はそれがファールになっているので、高めの球へのスイングを良いアプローチで出来るように」取り組んでいるところだといいます。課題はあるものの「振って当たれば遠くに飛ぶ」と本家ギータのような魅力溢れるミニギータに改めていろいろと話を聞きました。

角度ある打球を打ち込んでいるバッティング練習の様子 ©上杉あずさ

 打撃練習を終えた大本選手に“ミニギータ”と声を掛けると「やめてくださいよ~。恐れ多いです」と恐縮しながらも何だか嬉しそうでした。というのも、大本選手はプロ入り前から柳田選手の大ファンでした。「今でもファンですよ」と柳田選手の話になると頬を緩めます。

「この前、ゴルフで自分のドライバーを(柳田さんに)握ってもらったんですよ。もう使えませんよね~。家宝にします」とバリバリのファンっぷり。キャンプ中には「お前、調子どうなん?」と声を掛けてもらうこともあったそうです。ファンであり、目指すべき憧れの人からの言葉に大本選手のやる気も高まりました。

 そして、シルエットが柳田選手に近付いたように感じたことを伝えると、「ホントですか~? 嬉しいです。体重が落ちたからですかね」と照れ笑い。昨季まで100kgを超えていた体重は、昨秋のキャンプの激しい練習の中で自然と落ち始め、その後参加した台湾でのウィンターリーグでは食事が合わずにまた体重が落ちていったそう。しかしその結果、身軽に動けるようになったと言います。体重は減っても飛距離が変わっていないことに気が付き、「体重はこれを維持してやってみよう」と思っているところだそうです。また、昨季は疲労骨折した時期もありました。体重が落ちたことで怪我のリスクも減り、ここまで順調に来ています。