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人生100年時代にどのように備えるか

『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン)によると、2007年生まれの半分は104歳まで生き、1997年生まれの半分は、その年齢は101歳から102歳、1987年生まれの半分は98から100歳、1977年生まれの半分は95歳から98歳、1967年生まれの半分は92から96歳まで生きることが予想されています。今回のシミュレーションは90歳まで。若い世代はより長く生きることになるので、より不足額が膨らむ可能性が高いのです。

 少子高齢化によって、多くの先進国で年金制度の維持が難しくなっており、日本も例外ではありません。日本でも既に給付年齢が60歳から65歳に段階的に引き上げられていますが、今後さらに引き上げられる可能性があります。

 また、日本の年金額は毎年発表されていますが、その金額は、その時々の物価や社会情勢などによって調整されたものです。今回のシミュレーションは現在年金をもらっている高齢者と同じ条件で試算をしていますが、世代によっては給付年齢が変わったり、金額も経済状況によって変動したりする可能性があります。

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 タックスヘイブンとして知られる私が住んでいるシンガポールや香港は、年金制度が若く、自助努力によって各自が老後資金(約1億円)を準備します。日本人も、今後は国に老後を保障してもらうのではなく、新興国アジアから資産運用の方法を学んで「自分年金」を作っていく必要があるのです。

老後資金、どうやって貯める?

 では、老後資金をどうやって貯めればよいのでしょうか。

 例えば、毎年60万円を20年間積み立てた場合、3%複利で運用すれば1661万円になり、5%複利だと2083万円になります。低金利の日本の場合、3%リターンで運用するのは難しいですが、ETF(上場投資信託)や米国債などの外国債券で運用をすることによって低コストで高いリターンを目指すことも可能です。リスクを取りたくない人は毎年貯める金額を増やし、時間を味方につけてコツコツ貯めていくしかありません。「千里の道も一歩から」です。老後資金が足りないと気付いただけ、一歩前進。いまから備えて、自分と家族の生活を守りましょう。