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名言で1週間 ガガ様からオヒョイさんまで

「壁に開いている穴を探して、そこをすり抜ける」

2017/02/13
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レディー・ガガ
「私はインクルージョン(受け入れること)が大切だと信じている。平等の精神を信じている。そしてアメリカの精神は、愛と共感と思いやりだと信じている」
ハフィントンポスト 2月3日

ハーフタイムショーでのパフォーマンス ©getty

 名言、珍言、問題発言で1週間を振り返る。まずは世界中の注目を集める「スーパーボウル」のハーフタイムショーでパフォーマンスを行ったレディー・ガガの言葉から。これは事前の記者会見での発言。もちろん、ドナルド・トランプ米大統領の一連の発言や行動を受けてのものだ。

 ハーフタイムショーの中では際立った政治的な発言を行わなかったガガだが、曲の合間に「神の下で、全ての人に平等と正義が約束された、分つことのできない国」という「忠誠の誓い」の一節を諳んじてみせた。アメリカ国民にとって馴染みの深い言葉だが、今あらためてその意味を噛み締めている人も多いだろう。

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アーノルド・シュワルツェネッガー
「なあドナルド、良い考えがある。仕事を交換しよう。
そうすれば人々がまた安眠できるようになる」
ツイッターより 2月3日

 ドナルド・トランプ米大統領からテレビ番組のホスト役を受け継いだアーノルド・シュワルツェネッガー。トランプ大統領に「アーノルドのため、視聴率のために祈ろう」と嘲笑されたシュワルツェネッガーによる切り返し。

 なにより驚くのは、トランプ大統領がシュワルツェネッガーを嘲笑したのが、60年以上にわたって歴代大統領が出席してきた宗教関係者との朝食会だったということ(だから「祈ろう」と言っている)。宗教なんか屁でもない、と言わんばかり。

ジェームズ・マティス 米国防長官
「二つ道がある。一に辺野古。二に辺野古だ」
毎日新聞 2月4日

独身で軍人 マティス国防長官 ©getty

 トランプ政権の閣僚として最初に来日したマティス国防長官。“狂犬”の異名を持つ筋金入りの軍人がトランプ大統領の意向をどのように伝えるか注目されたが、安倍首相との会談では日米安保条約の重要性を再確認し、日米同盟を強化していく方針で一致した。

 米軍普天間飛行場の返還に関しても現行計画を強く支持。マティス国防長官らしい強い言い回しが印象に残った。

稲田朋美 防衛相
「事実行為としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」
朝日新聞デジタル 2月8日

 翻ってこちらは日本の防衛相の発言。南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の活動について、稲田防衛相は8日の衆院予算委員会で事実としての戦闘行為、殺傷行為を認めながらも「法的意味での戦闘行為はなかった」と繰り返した。

“言い換え”さえすれば、戦争が戦争でなくなるのが日本。「いじめはなかった」と繰り返した横浜市の教育長のことも思い出す。

長谷川豊
「レギュラー8本なめんなよというのは、ひょっとしたら、僕は書いていないかもしれません。ちょっと記憶にはないので」
THE PAGE 2月7日

「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ! 無理だと泣くならそのまま殺せ!」とブログに書いて仕事をすべて失ったフリーアナウンサー長谷川豊が、次期衆院選への出馬表明を行って世間を驚かせた。

 出馬に関する会見でもう一つ驚いたのがこの発言。長谷川はブログにはっきりと「炎上で稼がなきゃいけないほどお金に困ってません(断言)。テレビレギュラー週8本をなめんなよ」と書いていた(当該記事は削除済)。政治家になる前から「記憶にございません」とは。

藤村俊二
「苦労は全然ないんですよ。それに僕なんかほら、どっちかっていうと壁にぶち当たっても、その壁をぶち壊すんじゃなくて、壁に開いている穴を探して、そこをすり抜けるほうでしょ」
東スポWeb 2月2日

オヒョイさんが経営していた「オヒョイズ」で ©文藝春秋

「オヒョイさん」の愛称で知られた俳優・タレントの藤村俊二が82歳で死去。この発言は、マルチな活躍をしていた38歳の頃、東京スポーツのインタビューに答えたもの。愛称そのまま、いつだって軽快、軽妙だった彼らしい言葉だ。現在、壁にぶち当たって苦しんでいる人の参考になれば。

(文中敬称略)

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