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2019/11/16

genre : ニュース, 社会

「私塾」はどのくらいの収入になるのか?

 実際に保守系言論人のほとんどが、何らかの形でこの勉強会・私塾を運営しているのが現状である。その規模は数十名から数百名以上と幅広く、月会費も数千円から数万円など、中心価格帯を見出すのはなかなか至難の業であるが、多くの保守系言論人は、出版と併用して、自らの勉強会・私塾に会員を誘導するパターンが多い。

 現在では、とりわけネット動画(ネット番組)への出演を一種の出演広告として、自らの勉強会・私塾に間接誘導するのが定石となっている。こういった込み入った利権事情は、拙著『愛国商売』のなかにエンタメとして縷々出てくるのだが、こちらは小説であるから本稿では真面目な省察として考える。私塾の会費が3,000円/月で会員が50名という、比較的小規模・低料金の勉強会の月額収入を想定すると、

 3,000円×50人=150,000円

 である。月に15万円。額としては小ぶりに思うかもしれないが、年に換算すると180万円。けっして馬鹿にできる金額ではない。そもそも、40年間国民年金保険料を毎月律義に遅滞なく納めて、やっとこさ老後貰える国民年金の満額が月額約65,000円なのだから、15万円/月というのは安定した収入だと言えるだろう。

自衛隊基地にしばしば足を運び取材を行なう筆者

私塾には明確な目標がない

 またこれらの勉強会や私塾の運営費には、原価というものがほとんどかかっていない。オンラインサロンと同様、これらの会はネット上で会員入会から会費決済までを完結している場合が多く、かかるのはシステム運営費くらいのものである。

 ただし、主催者である保守系言論人との交流が必須となってくるから、都内交通至便地域などに貸会議室を都度借りる室料というのがしいて言えば原価となろう。

 また、学習塾や予備校と違って、保守系言論人の主催する私塾には明確な目標や目的が定まっていない。単なるネット右翼を相手としたファンサービスにすぎないからである。学習塾や予備校は、偏差値の向上、試験の結果、そして志望校の合否という、年限の定まった最終目標があるのでその消費者による査定はシビアにならざるを得ない。