昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/04/01

 日本の新型コロナウイルス対策は、いわゆるクラスター(集団感染)対策を軸とし、検査は疫学調査の一環として行われてきた。これまで日本が感染者数を抑えることができたのも、クラスター対策を徹底的に行ってきた日本の現場の尽力によるところが大きい。

日本の検査不足による懸念

 しかし、ある程度国内で流行してしまったら様々なルートで感染は拡大し、クラスター対策の効果は限られてしまう。特に、検査で見つかっていない軽症例や症状のない感染者が感染を拡大させる可能性が高いため、本来であれば検査体制を拡充させ、疑わしい場合にはできるだけ迅速に検査を行うことが望ましい。だが、日本の検査実施数は諸外国に比べて極端に低いものになっており、検査不足により見逃されている症例があることが懸念されている。

 封じ込めが難しくなり感染爆発が起こりうる段階では、社会的隔離の徹底、そして必要があれば、都市封鎖などをして時間を稼ぐ必要がある。世界の医療関係者が最も恐れていることは、感染爆発が起こった時に、重症者で病院があふれてしまいイタリアのように医療崩壊が起こることだ。都市封鎖の目的は感染爆発による患者数の急増を抑え、感染ピークを遅らせることだ。

ロックダウンのイタリア・ローマ ©iStock
イタリア・ジェノバもロックダウン ©iStock

 もし感染ピークを遅らせられたら、より大規模な「検査と隔離」を実行する。ここでも感染規模を知るための検査の充実は必須である。特に、今後の流行期には、既存のPCR検査に加えて、現在実用化が進んでいる抗体検査による医療従事者や地域の感染状況の把握が最も大切である。都市封鎖は、社会的にも、政治経済的にも、大きなコストがかかる。それゆえ、最も適切な時期に導入し、それを解除するための周到な準備と判断が求められる。