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『おジャ魔女どれみ』が他の「魔女っ子」アニメと一線を画している部分って?

第1期シリーズディレクター・佐藤順一監督インタビュー

――佐藤さんが思い切って「挑戦」された部分はどこでしょうか?

佐藤 サリーちゃんは魔法の国からきたお姫様、というように、魔法には必ず出自があります。『おジャ魔女』も、魔法がどうやって使えるか?というギミックを考える必要がありました。

当時、ニュースでお母さんが「うちの子供が飼っていたカブトムシが死んでしまった。そのとき子供が『お母さん、電池どこに入れるの』と訊いてきた」と話しているのを観たんです。衝撃を受けました。逆に、電池で何かが動く、ということを幼稚園くらいの子供でも体感的に分かっているのだな、と。

じゃあ、電池のようなもので魔法が使えて、それが消耗したら使えなくなる……という発想はどうかと思いました。最初は「魔法のオイル」をイメージしていて、それが切れると魔法が使えなくなる。オイルを手に入れるには、お店をやったり、何か頑張らなければいけない、と考えて提案しました。

そしたら皆さんにも受け入れられて、「魔法のオイル」から形を変えて「魔法玉」になりました。魔法を身近に感じるための有効なアイデアだったのではと思います。

『アニメコミックス おジャ魔女どれみ』1巻より。© 東映アニメーション

どんなに崩れても「可愛い」と思われる表情にしたい

――佐藤さんの思う、主人公・春風どれみの魅力を教えてください。

佐藤 友達想いなところですね。幼稚園の子って、特定の「〇〇ちゃんが好き」っていうのは日替わりで変わるけど、その理由は「クレヨンを貸してくれたから」といった、優しくしてくれた場合が多いんです。自分に親切な子はみんな間違いなく好きになる。だから主人公の設定として、そこは絶対に外せませんでした。

例えばどれみをギャグにもっていくときも、自分勝手に何かをやって、ひっくり返ってガチョン、ではなく、誰かのことを想って一生懸命にやろうとしたけど、ひっくり返ってガチョン、という方が気持ちよく笑えるんです。どれみが本心から周りを大事に想っている、という描き方をしていますね。観た子供たちが「ああいう子になりたい」と思う軸として、友達想いは大切だと思います。どれみの周りにいるはづき達も、どれみが好きなのは友達想いだからです。

――作中でどれみを描くにあたって、顔の表情、動きなど、工夫されたところはございますか?

佐藤 7話くらいまでは原画になる前の表情や、設計図は一応僕が全部見ていました。普通の顔はいいんですけど、崩し顔、ギャグ顔は全て可愛く見えるように気をつけていましたね。どんなに崩れても可愛い、というのが大事です。ある程度「型」ができればそれをなぞればいいので、初期の段階では自分の思う可愛いギャグ顔を考えていました。

どれみの崩し顔。たしかに可愛らしい。『アニメコミックス おジャ魔女どれみ』1巻より。© 東映アニメーション

これは『セーラームーン』をやってるときに思ったことです。女性アニメーターさんが描くと、うさぎの崩し顔も可愛いんですよね。おじさんが描くと「?」ってなったりすることも(笑)。その経験は活きていると思います。