――第1シリーズを通して、どれみの成長を描くにあたって注力した部分をお聞かせください。
佐藤 どれみは、大きく成長はしないと考えています。どれみには「好きな子に告白したい」という願いがあって、そのアプローチとして魔法を使うかどうかが変わったのかな、と。変わったのは絵的な部分ではなく、千葉千恵巳さんの演技でしょうか。最初の陽気な女の子から、千葉さん自身が入り込んでいって、最終回でおんぷちゃんを救うまでが自然にできていったのだと思います。
あの時間帯のアニメに必要とされるのは良いお話だけど、3~6歳の子って「良いお話だから観たい」よりも「楽しいから観たい」ですよね。結果、「観たら良い話だった」となるのが理想です。自分が責任をもって『おジャ魔女』に入れていこうと思った要素は「笑い」で、それは忘れないでいてほしいです。
――また『おジャ魔女』シリーズをまた作れるとしたら、どのようなお話、展開に挑戦してみたいですか?
佐藤 同じ視聴者ターゲット(3~6歳の未就学児)で同じ枠でしたら、時代は20年経っていますが「小さい子が楽しむためにはどうするべきか」が変化していないことを確かめたいです。今の子供たちの前にはテレビだけじゃなくて、タブレットとか新しい玩具がたくさんあるけど、画面の中にいるのはデータではなく友達のどれみちゃん、という点は変わらないと思うんです。それを確認したいですね。
今年公開の『魔女見習いをさがして』の主人公は……
――放送20周年映画『魔女見習いをさがして』のお話が出たときの感想をお聞かせください。
佐藤 小説の映画版かな、と思いました。小説はほぼ関わっていなかったので、正直「僕じゃなくていいんじゃないかな」と(笑)。でも、徐々に『おジャ魔女』を観ていた子たちが主人公の話になっていて、「自分がやる意味があるのかな」と思うようになっていきました。
――どれみちゃんが主人公ではない、と聞いて驚きました。『おジャ魔女』の聖地を巡る、ロードムービー的な要素があるとか……。
佐藤 「どれみ20周年です」という打ち出し方を見ると、「またどれみちゃんに会える」と思うじゃないですか。どれみを観て育った3人の主人公たちがどんな新たな物語を紡ぐの
ロードムービーって作るの大変なんですよね。舞台が変わっていくので、設定を作っても作っても終わらない。舞台裏的なところでシビアなので、あまりロードムービーにはしたくなかったのですが(笑)。
でも映像の舞台に行ってみる、というのは一つのレジャー、作品の楽しみ方の一つになっていますよね。3~6歳の子供達は「あの人形がほしい」と言って買ってもらって遊んで満足、ですけど、大人の場合はパンフレットやグッズを買うくらいで、映画を楽しんだ後、実生活でさらに楽しむのは限られています。ロードムービーにすることで、どれみを観た人たちがその世界にもう一回関われるのであれば、頑張る価値はあると思いました。
――最後に、「どれみ」ファンへの一言をお願いいたします。
佐藤 今回は「おジャ魔女」を観ていた子たちが殻を破って、元気になってもらう映画です。明日への活力にしていただくのが我々の願いなので、ぜひ映画館で観て、元気を受け取っていただければと思います。
『アニメコミックス おジャ魔女どれみ』(全6巻)、『アニメコミックス おジャ魔女どれみ♯(しゃーぷっ)』(全6巻)電子版は、4月24日(金)に主要電子書店で発売されます。