今年放送21周年を迎えるアニメシリーズ『おジャ魔女どれみ』は、ひょんなことから「魔女見習い」になった天真爛漫な小学生・春風どれみの日常を描いた人気作。魔法少女ものかと思いきや、魔法がほとんど使われない(=トラブル解決の直接の手段にならない)エピソードもあり、全5シリーズを通して丁寧に描かれたストーリーに定評がある。
今年は20周年記念企画として、映画『魔女見習いをさがして』も公開予定。未だファンに愛され続けている作品だ。
今回は、第1期にあたる『おジャ魔女どれみ』のシリーズディレクターを務めた佐藤順一監督にお話を伺った。『おジャ魔女』は東映アニメーションが15年ぶりに制作したオリジナル作品で、佐藤監督は最初の設定作りに大きく関わったメンバーの一人。
『おジャ魔女』が既存の「魔女っ子」アニメと一線を画した点は、どこにあるのだろうか。
ストーリー展開として難易度の高い「万能魔法」に挑戦
――佐藤さんは、『おジャ魔女』の最初のシーズンを手がけられています。最初の設定作り、大変だったのではないでしょうか?
佐藤 以前から「オリジナル作品をやりたい」という願望があって、お話をいただいた時は、飛びつくように「やりたい」と言ったのを覚えています。最初は「魔女っ子」でオリジナル、としか決まっていなかったので、設定はみんなでかなり考えました。当時(90年代後半ごろ)の魔法少女ものって、大人になったりアイドルになったりする「限定された魔法」が多かったんです。いわゆる「万能魔法」は、事件が起こっても全部魔法で解決できちゃうから、ドラマにしにくいんですよね。でも、子供が観ていて楽しいのは万能魔法だから、あえて挑戦してみよう、と決めていきました。