「緊急事態宣言が出て以後、登園しているのは二人です」
「スナック経営者や居酒屋経営の保護者は、大事をとってすぐに登園を見合わせました。雇われで働いている保護者は仕事に出ないと生活が立ち行かないんでしょう、すぐには休めないような状況でした。緊急事態宣言が出て以後、今も登園しているのは、母親が派遣のホステスと英会話の派遣講師の二人です」
『どろんこの星』では2020年の早い段階で19人に定員を広げ、2021年4月には園児数は30人を予定していたが、運営計画は白紙に戻った。
目下直面している問題は、園児数を維持できるかだ。というのも、園児が在籍している間は所定の補助金は支給されるが、今後、中洲の休業状態が長引けば、退園する保護者が出てくる可能性がある。園児数が減って補助金が減額されれば、運営内容を見直すことも必要になってくる。
頭は痛い。だが、天久さんは45年間で最も困難な局面というわけではないという。
「うちはまだ恵まれとうですよ。補助金がありますから」
認可外保育施設にも支援策を発表
周辺のベビーホテルはどこも認可外のため、保護者から支払われる4~5万円ほどの保育料のみで運営している。あるベビーホテルでは、通常は30人ほど預かっているのが4月に入って4人までに減ったという。歓楽街で働く親たちのセイフティネットだったベビーホテルが、新型コロナウイルスによって連鎖休業に追い込まれる目前だ。
そこへ、4月14日、認可外保育施設に対して、福岡市から支援策が発表された。この日、福岡県が緊急事態宣言に基づいて休業要請を発出したことに呼応し、休業要請への協力施設への補助金支給先として、認可外保育施設についても該当施設に指定したのだ。期間中、自宅保育をした保護者には日割りで保育料を割り引くよう保育施設に要請し、減額分を福岡市が認可外保育施設に支払うというものだ。夜間保育を引き受けているベビーホテルにも適用する予定だという。
飲食業を経営する保護者にも朗報があった。
「この1年は、どこまでこの運営体制を守れるか、やってみないとわかりません」
ひとまず、現場に出る保育士は6人のうちの2人に抑え、職員たちは順番に有休消化や自宅待機に入った。
写真=三宅玲子