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ポビドンヨードの臨床研究をやってみたらいい

 でも、臨床研究というのは、その「仮説」が本当に成り立つかどうかを確かめるために行うものです。ですから、私はポビドンヨードうがいの効果を確かめる臨床研究をやってみたらいいと思うのです。実際、大阪府では軽症や無症状の患者を対象に、1000人規模の本格的な研究を進め、効果を検証すると発表しています。

 さらに私は、陽性者を対象とするだけでなく、たとえばミナミの特定のエリアなどでポビドンヨードうがいを励行し、他地域と比べて陽性者数や陽性率、重症化率、死亡率等が減るかどうか、専門家の適切なアドバイスをもらいながら、ぜひ検証してほしいと思います。

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 こうした研究によって、本当にポビドンヨードのうがいでコロナの感染者を減らせることがわかれば、ノーベル賞級の画期的な成果です。これが成功すれば、高額になるであろうワクチンに頼らなくても、もっと安上がりの費用で、コロナに打ち勝つことができるでしょう。

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ネガティブな結果に終わっても評価すべき

 もちろん逆に、ポビドンヨードのうがいをしても、感染リスクは下げられないという結果が出るかもしれません。水うがいのほうがよっぽど効果的だとか、ポビドンヨードを使ったほうがかえって感染しやすいという結果が出る可能性だってあります。でも、たとえそうだったとしても、研究者を批判すべきではなありません。なぜならこれによって、「コロナにポビドンヨードは使うな」という確固たるエビデンスを得られるからです。

「そんなダメな研究をしても無意味だ」と思う人がいるかもしれません。しかし、臨床研究でネガティブな結果が出たとしても、その成果は評価すべきです。なぜなら、ネガティブな結果は評価されないとなると、医学研究者はネガティブな結果を隠したり、不正をしてでもポジティブな結論にしようとするかもしれないからです。実際、医学研究の論文にはそのようなバイアス(偏り)の問題があると、以前から指摘されています。

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 ですから私は、ポビドンヨードが本当に効くのかどうかを確かめようとしている松山センター長たち研究者の姿勢は評価すべきだと思っています。研究デザインが杜撰だとか、倫理的な問題等を指摘する声もありますが、これまでも研究デザインに問題のある杜撰な研究で、「◯◯に効く」と豪語する医師の話を何度も聞いてきました。むしろ、臨床研究のクオリティの問題は、医学研究者の方々が自分たちの問題として自律的に解決していただきたいと思います。