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数ヶ月前には「マスク不要説」もあった

 それに、たとえばコロナの感染予防に重要とされる「マスク」も、当初から本当にコロナ感染のリスクを減らせるのかどうか、科学的にわかっていたわけではありません。インフルエンザの感染予防の効果に否定的な研究結果が多いこともあってか、感染症専門医の中にさえ「マスクは不要」という人がいました。

 しかし、コロナが発症前に感染のピークがあることや、マスクによって飛沫の拡散が防げること、また中国での家庭内感染の研究や米国の病院での研究など、知見が積み重なったことによって、マスクに感染予防効果がありそうなことがわかってきました。

 こうしたことからWHO(世界保健機関)がマスクを推奨するようになり、あれだけ渋っていたトランプ大統領もマスクを着けるようになったのです(忽那賢志「新型コロナ マスク着用による感染予防の最新エビデンス」Yahoo!ニュース2020年7月23日)

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手指消毒のアルコールにも副作用はある

 一方、スーパーの入り口などに置いてある手指消毒用のアルコール・スプレーに関しては、実際にコロナの感染リスクを下げられるかどうか、科学的には検証されていないと思います(もし研究成果があれば、考えをあらためますので教えてください)。コロナウイルスを迅速に殺し、ウイルス量を劇的に減らせることから、接触感染が防げるに違いないと考えられているわけです。ただし、ポビドンヨードのうがいをし過ぎるとのどを傷めるというなら、アルコールだって手荒れや目に入ることで角膜を損傷する副作用があります。

 だからといって、アルコールによる手指消毒が無意味だと言いたいわけではありません。エビデンスが十分でなくても、やはり効果的かつ副作用は小さいと考えられることは、できるだけ実践したほうがいいと思うのです。

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 それに、ウイルス量を減らせるという点ではポビドンヨードによるうがいもマスクやアルコールと同じであり、頭から否定する必要はないと思うのです(ただし、本当に安全で有効かは不明ですので、ポビドンヨードのうがいをするとしても、用法用量を守ってやり過ぎないようにしてください。とくに妊婦さんや甲状腺の病気のある人はリスクが高いので、絶対に使わないようにしてください)。

 ですから、医師の方々には今回の研究結果をポジティブにとらえて、むしろ適切な研究デザインをアドバイスするなど、積極的に関わってはいかがでしょうか。それによって感染リスクが減らせることがわかれば、万々歳です。吉村知事は勇み足でしたが、それはそれとして「やってみなはれ」のなにわ精神でトライしてみるほうが、寄ってたかって叩くよりも、よっぽど生産的だと私は思うのです。