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二次創作は海賊版ではなく「創作性」が認められる

「非常によくある勘違いですね。実際に同人活動をされている人の中にも、『同人誌に著作権は発生しない』と思っている人がとても多いです。今回の裁判の中で、訴えられたサイト側が主張したのも同じ発想です。“同人誌は違法に制作されたものだから著作権はない。よって、無断でサイトにアップロードしてもよい”と」

――その言い分はずいぶん身勝手ですが、「無許可で二次創作された同人誌に著作権が発生する」というのもなんだか不思議な感じがします。

「それはもしかしたら、二次創作と海賊版を混同しているのかもしれませんね。例えば『ドラえもん』の原作をコピーしたらこれは海賊版ですから、著作権は当然認められません。しかし二次創作というのは、もともと存在するキャラクターを前提に、同人作家が独自のストーリーを付け加え、自分の絵で描いているわけです。そこには『創作性』が認められます」

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「おそ松さん」公式サイトより

――それは「内容を問わず」ですか?

「そうです。わいせつだから著作権がない、ということはありません。そして、今回の判決の最大のポイントは『二次創作でも保護される』ということを裁判所が明確に言ったことだと思います」

――と言いますと?

「実は同人誌の業界は、海賊版や違法アップロードだらけの“無法地帯”なんですよ。以前、マンガや書籍を無断でアップロードする『漫画村』というサイトが社会問題になりましたよね。出版社や原作者が動いたことで『漫画村』は閉鎖されましたが、他人の作った同人誌の違法アップロードサイトは今も無数にあり、アップロード者はそれで堂々とお金を稼いでいます。“どうせ同人誌は違法(著作権侵害)だから、同人作家は訴えてこないだろう”とタカをくくっているんです。今回の判決を受けて、違法アップロードが減ればいいですよね」

――同人誌の場合、出版社が著作権保護のために動いてくれるわけではないので個人で訴えるのも大変です。同人誌であるという引け目もあったはずです。ただ今回の判決で「二次創作はなんでもOK」になったということではないですよね?