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ウィラード司令官との信頼関係

――アメリカ軍との連携がうまくいった理由として、アメリカ太平洋軍のウィラード司令官との関係性が良かったことも、本の中では挙げられています(『国を守る責任』)。そうした個人的な信頼関係はどのように構築されていったんですか。

折木 やっぱり会うことが大前提だと思いますね。会う機会を増やすことが大事です。日米を取り巻く安全保障環境も厳しくなってきて、イラクやアフガンの問題もある。そうした中でウィラード司令官とはハワイや東京で直接会って、地図を広げてああでもない、こうでもないと戦略協議をやっていたんです。通訳は入りますが、基本は2人で。そういう仲になることが、信頼の基礎かなと思っています。

 

――そうしますと、今はコロナのせいで外の人と顔を合わせる機会は減っていると思いますが、それは安全保障の面でもマイナスになるんでしょうか。

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折木 そうですね……。今はテレビ会議とか、いろいろなことをやっていますけれど、やはり対面でということは、かなり大事だと思います。テレビ会議でも、全く会わないよりはもちろん良いのですが。

自衛隊にとって天皇皇后両陛下の存在とは

――震災の際は、4月になると当時の天皇皇后両陛下が宮城に入られて、JTF(統合任務部隊)の君塚栄治総監や村井嘉浩知事と会食されました。こうした天皇と自衛隊の距離については、どのようにお考えですか。

折木 そもそも天皇はシンボルであって、我々は国民の一人という関係性です。ただ、やっぱりスタンスとして、天皇皇后両陛下が国民を思われる姿や、自衛隊だけじゃなく、警察や消防も含めて、命を懸けて頑張っている人を激励したいという、そういうお気持ちをあのときはすごく感じたんです。それは全自衛隊にとって、ものすごく誇りになる、嬉しいことでしたね。

――それまで天皇皇后両陛下が自衛隊の駐屯地を訪れる、といった機会はあまりなかったことかと思いますが。

被災地を訪問された当時の天皇皇后両陛下(2011年4月27日撮影) ©AFLO

折木 そうですね。昭和天皇も、自衛隊の任務に対して、それを目的に施設においでになるといったことはなかったと思います。

――今後も、例えばあのような災害のとき以外でも、定期的に天皇陛下が自衛隊のもとに来られるという機会は、あったほうが良いとお考えですか。

折木 自衛隊が何か特別な活動をしたときには、そのような機会があるとやはり嬉しいことですけれど、天皇というお立場もありますし、定期的にというのは難しいと思いますね。何も政治的な話というわけではなく。