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殺人が性的快楽と直結

 一方、連続殺人犯は、妄想や幻聴などを伴わず、ある意味、静かに犯行を進めます。

 岡庭容疑者は16歳の時に放火、連続通り魔事件を起こしています。茨城一家殺傷事件の約8年前、2011年11月18日に三郷市の路上で中学3年生の女子生徒を、2週間後には三郷市と隣りあう千葉県松戸市の路上で小学2年生の女児を相次いで刃物で襲っているのです。どちらの被害者も重傷で、一歩間違えれば死亡しかねない事件でした。約8年間のインターバルはあるものの、この2件に連続する形で茨城一家殺傷事件が起きたと考えられます。

 報道によれば、昨年11月に茨城県警と埼玉県警の合同捜査班が、爆弾製造の容疑で岡庭容疑者の自宅を家宅捜索した際、約44キロの硫黄などの薬品に加え、催涙スプレーの購入記録、パソコンから小林さん宅周辺情報の検索履歴などが発見されています。こうしたものが凶行に関連しているとすれば、彼は入念に準備を進めたことになります。

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雑木林に囲まれた犯行現場 ©️共同通信社

 米国の元心理分析官ロバート・K・レスラーは、大量殺人犯を秩序型と無秩序型に2分しています。先に挙げた造田や宅間のような1回きりの大量殺人犯は、無秩序型といえます。彼らは緻密な計画は立てず、対象も手当り次第です。それゆえ犯行直後に捕まることが多くみられます。

 一方、秩序型の犯人の多くは、快楽殺人、すなわち殺人そのものを目的として連続殺人を犯します。「週刊文春」(5月20日号)は、高校時代の岡庭容疑者がナイフを靴下の中や机の中、制服の内ポケットに忍ばせ、自慢気に「ナイフ、ここにある。いつか人を殺してみたい」と言っていたとの同級生のコメントを伝えています。また、教室に猫の生首を持ち込み、教室をパニックに陥らせていたとも報じています。それをきっかけに高2で退学してまもなく、岡庭は前述の通り魔事件を起こしました。激情に駆られ、短絡的に犯行に及んだのではなく、彼は殺人そのものを目的とし、慎重に事を運んだと考えられます。

「週刊新潮」(5月20日号)は、岡庭容疑者の少年審判の際の供述調書(後に被害者らが起こした民事裁判に提出されたもの)の内容を詳しく報じています。岡庭は犯行後、凶器の包丁についた血を舐めたこと、それによって性的に興奮し、自慰行為に至ったことなどを供述しています。前出「文春」の記事も、担当検事の「女の子を殺すこととセックスすること、どちらのほうが、大事なんですか?」という問いに対して、岡庭容疑者が「殺すほうが大事です。そっちのほうが、興奮するからというか」と答えたというやりとりを伝えています。彼にとって殺人は性的快楽と直結しているのです。