90年代半ば以降、コンプリートして初めて完成するおもちゃも
――今では珍しいタイプのおもちゃもあったそうですね。
マックけんいち 90年代後半から00年頃にリリースされた「マックがったいロケット」というシリーズは、全種集めて初めてひとつの大きなロケットになるというものでした。当然、全種集めて完成させた状態で保存したくなるので、コレクター心をくすぐるシリーズでしたね。
シリーズのひとつに、全種を集めて組み立てることで、マクドナルドのお店の形になる文具ケースのおもちゃがありました。それぞれに定規やえんぴつ、クレヨンなどがついていましたね。コレクター視点でいうと、クレヨンは溶けやすいので保管方法に気をつけなくてはいけなくて大変でした。
ひときわスペシャル感を感じるおもちゃ
――単品でも十分に華やかですが、やはり全てのパーツを合体させた姿のインパクトは抜群です。では、マックけんいちさんが思う、ひときわスペシャル感のある「ハッピーセット」のおもちゃは?
マックけんいち 1998年の長野オリンピックを記念してリリースされた文房具のおまけ。どちらかというと実用的なので、おもちゃとしては子ども受けしなさそうでしたが、今見ても特別感満点だったと思います。
また、ちょっとした変化球どころでいうと「マックファーム」はかなり珍しいおもちゃですね。というのも、「ハッピーセット」ではプロモーション中におもちゃの在庫が切れてしまったときに、公式に発表されていないおもちゃで欠品を補充することもあるんですよ。
私の記憶だと、あるときにこの「マックファーム」が店頭で配られ、コレクターの間で「なんで情報にないものが出ているんだ?」と話題になった覚えがありますね。のちに、かつてヨーロッパで展開していたおもちゃだと確認できたんです。このように手に入れたおもちゃがどの資料にも載っていないこともあり、コレクター泣かせではあるのですが、謎に包まれている点が逆に貴重で面白かったりもしますね。
――そんな想定外の出会いもコレクションの醍醐味なんでしょうね。では最後に「ハッピーセット」の魅力を教えてください。
マックけんいち これだけクオリティの高いおもちゃをセットにつけて、しかもそれを何十年も展開し続けている飲食チェーン店は、マクドナルド以外にはないんじゃないでしょうか。“「ハッピーセット」のおもちゃ”という文化自体を作ってしまった感があり、それこそがマクドナルドの凄さを物語っているように感じます。
(文=福永全体〈A4studio〉)