2~3年前からお笑い界では空前の「第7世代ブーム」が起こっていた。霜降り明星、ハナコ、四千頭身などの「第7世代」と呼ばれる20代中心の若い芸人たちが注目され、さまざまなメディアで取り上げられるという現象が起こっていた。
『第7キングダム』『お笑いG7サミット』『7G』のように、「第7世代」を意味する言葉を掲げた番組も多数放送された。年々高齢化が進んでいると言われていたお笑い界で、久しぶりに若い世代が注目される時代が来ていた。
第6世代の番組が続々とスタート
だが、2021年に入ったあたりから、あちこちで第7世代ブームの終焉がささやかれるようになった。第7世代という言葉自体をあまり聞かなくなり、この世代の芸人が出る機会も徐々に減ってきている。
一方、第7世代に代わって台頭してきたのが、彼らよりも少し上の世代にあたる「第6世代」の芸人たちである。千鳥、かまいたち、チョコレートプラネットといった面々が、冠番組を増やして勢いに乗っている。麒麟の川島明も朝の帯番組『ラヴィット!』のMCに抜擢されたし、『M-1グランプリ』出演をきっかけにしてマヂカルラブリー、ニューヨーク、見取り図なども活躍している。これらの芸人は全員、第6世代に該当する。
今では「最近調子がいい」と言われる芸人の大半が第6世代という状況になっている。ここまで一気に第7世代と第6世代の形勢が逆転したのはなぜなのか。
「第7世代ブーム」で何が変わったのか?
その背景にあるのは、テレビ局の戦略の変化である。少し前までは、テレビ局は高齢者を主なターゲットにして番組作りを進めていた。高齢者の方が母数が多く、視聴率を取りやすいと考えられていたからだ。
だが、高齢者は若者や現役世代に比べると購買意欲が低く、CMの広告効果が期待できない。そのため、数年前から民放各局は若者を取り込む方針に切り替えた。全体の視聴者の割合を示す世帯視聴率よりも、若い世代中心のコア視聴率が重視されるようになってきた。
そこに第7世代ブームが来た。20代中心の第7世代の芸人は、テレビ局が求めている視聴者層と年齢が近い。同世代の芸人が出ていれば若者にも共感されるのではないかという期待もあって、第7世代の芸人は番組に積極的に起用されるようになった。