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2022/04/20

source : 文藝春秋 2022年5月特別号

genre : ビジネス, 企業

「お国が決めたものを作る」

 ソニーの場合、エレクトロニクス製品が売れなくなるなかで、もがき苦しみながら新たな商売の種としてたどり着いたのが「コンテンツ」であり、「人とのつながり」だった。それに対して東芝はどうだったか。

 東日本大震災直後の2011年5月、当時、日本経済新聞の記者だった筆者は東京・浜松町の東芝本社で会長だった西田厚聰にインタビューした。まだ東芝が製造した東京電力福島第一原発の状況が予断を許さない時期、世界最悪の原発事故に揺れる日本で大企業に何ができるのか。私の問いに西田はこう答えた。

「あれだけの土地をゼロから復興するというのは世界でも例がないことですからね。スマートシティでもコンパクトシティでもお望みのものを作って見せる。ただし、どう復興させるかを決めるのはお国です。実行部隊である我々企業は、お国が決めたものを作るのです」

 なるほど、東芝はそうやって商売をしてきたのか。妙に合点のいくやり取りだった。

東芝CEOの島田太郎氏

 東芝の凋落をもたらした最大の原因は、原子力発電事業への投資だ。躓きのきっかけは2006年の米原発機器大手ウエスチングハウスの買収。米国初の商用原発を動かした名門を手中に収めた西田は有頂天だったが、その決定の背景に、国が策定した「原子力立国計画」があった。経産省の官僚に吹き込まれ、「原発事業のパッケージ輸出」という国策に乗ったのだ。

 ところがウエスチングハウスは、30年以上原発を新設しておらず内情はボロボロだった。そこにリーマンショックと東日本大震災が追い打ちをかける。当然、社内でも原発事業の将来は不安視されていたが、経営中枢はまた国を頼りにしてしまう。民主党政権と安倍政権が目玉政策の1つにした「インフラ輸出」だ。

 これが絵に描いた餅で実績ゼロに終わり、切羽詰まって行きついたのが2015年に発覚した粉飾決算だった。化けの皮の剥がれた東芝は、東芝メディカルシステムズ、東芝メモリといった将来性のある虎の子事業を手放さざるを得なくなる。

 東芝では、無理な案件を通す時、「これは国策だ」というのが決まり文句だったという。国の方針に従っていれば安泰だという「国策民営」はすでに破綻していたのに、国にすがりついてしまったのだ。

EVは第7の柱になるか

「Hondaとの提携を通じて、セーフティ、エンタテインメント、アダプタビリティの3つの領域を軸に、モビリティの進化に貢献していきたいと考えています」

 3月4日、ソニー社長の吉田はホンダの三部敏宏社長と記者会見に臨み、EV(電気自動車)の共同開発をおこなうと発表した。販売開始は2025年を想定しているという。

 大西康之氏による「ソニーと東芝『勝負の分かれ目』」の全文は「文藝春秋」5月号と「文藝春秋digital」に掲載されています。

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