JR東日本が進める「みどりの窓口」の削減はうまくいくのか。鉄道ジャーナリストの梅原淳さんは「現時点で『えきねっと』や『話せる指定席券売機』などでは業務を代替することはできない。システム構築に長けたIT企業と提携するなど、抜本的な改革が必要だろう」という――。
なぜ「みどりの窓口」が大混雑しているのか
ここ最近、首都圏を中心にJR東日本の駅に設置されたみどりの窓口に長蛇の列が発生している。
ゴールデンウイークなどの大型連休や新幹線の運休に伴う振替などで多数の利用者がJRのきっぷを購入しようとみどりの窓口に押し寄せた。
同社は2021(令和3)年からみどりの窓口の閉鎖を進めており、またそのまま残されたみどりの窓口でも係員のいる窓口の数が減らされている。それゆえ、各地でみどりの窓口の大混雑が発生しているのだ。
たとえば4月は学生らにとって入学、進級の季節でもある。新年度最初の通学定期券は指定席自動券売機や多機能券売機では購入できず、みどりの窓口で通学証明書を係員に提示しないと購入は不可能だ。ただでさえ混んでいたみどりの窓口がさらに混雑することとなった。
そもそも、なぜみどりの窓口に行かなくてはならないのか。理由は大きく分けて2つある。
ひとつはJR東日本の指定席インターネット予約サービスの「えきねっと」のように、チケットレスで乗車可能な列車は自社を中心とした新幹線や在来線の特急列車だけとなっているからだ。
他のJR各社の指定席を「えきねっと」でも予約可能だが、指定席自動券売機で受け取る手間が生じる。予約から購入までをみどりの窓口に赴いて一度に済ませたいという利用者の心情は理解できる。
チケットレスサービスは各社が個別に展開
これは全国一元化されていた国鉄を分割民営化した弊害だと言ってよい。
実は全国の新幹線や特急列車の指定席はJRグループの「鉄道情報システム」が一元化して管理している。一方でチケットレスサービスは「えきねっと」、JR東海の「エクスプレス予約」「スマートEX」、JR西日本の「e5489(いーごよやく)」などとJR各社が個別に展開しており、利用者が戸惑うのは無理もない。