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「子供にワクチンは不要」「日光でコロナは死滅する」反ワクチン団体の“怪文書”に医師が徹底反論

2022/04/29
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「できたら、厚生労働省や小児科学会がもっとわかりやすく情報提供できるといいだろうと思います。また明らかに荒唐無稽なチラシであっても、面倒であっても、きちんと反論していくことが大事ではないでしょうか。デマの内容って、実はかなり似通っているんです。元データを確認することなく、過去に作られた反ワクチンチラシを参考に、新たなチラシが作られているからだと思うんですが……」

「10個のデマ」に徹底反論

 反ワクチンチラシはどこが間違っているのか? 実際に送られてきたチラシをもとに、森戸さんに聞いてみた。

■デマ1:ワクチン接種後に1571人が亡くなっている

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実際に森戸さんのもとに送られてきたハガキ

「『接種後の死亡』と『接種を原因とする死亡』では意味が異なります。現在までに、新型コロナワクチンを接種したせいで亡くなった人はいません。新型コロナワクチンは、今までにない規模とスピードで接種が進んだので、たまたま接種後に体調が悪くなったり、亡くなったりする人が他のワクチンより多いように見えるのです。新型コロナワクチンに限らず、ワクチンの接種後に何かがあれば、明らかに因果関係がなさそうな場合でも開始後すぐから全ての情報が集積されています。

『因果関係不明』であることが多いと言う人もいますが、ワクチンを接種した後の待機中に具合が悪くなり、亡くなったりしたら、ワクチンのためではないかと想像がつきます。また、アナフィラキシーではないかなど因果関係も調べやすいでしょう。けれどもワクチン接種後に時間が経ってから亡くなった場合、もともとの持病の悪化、偶発的な心筋梗塞や脳梗塞などの場合は因果関係の証明は難しいでしょう。

 例えば、水を飲まない人はいませんし、水を飲んだ後に死亡する人は多数いますが、そういった場合に『水を飲んだせいで死亡した』と結論づける人はいません。

 つまりワクチン接種の有無とは関係なく、残念ながら常に一定数の方は病気や事故などで亡くなっているのです。当然のことですが、新型コロナワクチンの接種開始前に行われた大規模臨床試験で、ワクチン接種者とプラセボ(偽薬)接種者で、重い病気を発症した人や亡くなった人の割合に差がないことが確認されています。そして2021年の死亡者数は増加していますが、この増加はワクチン接種開始前から始まっているうえ、新型コロナウイルス感染による死亡を含んでいます。つまり、ワクチンのせいで死亡者数が増えているとは言えません。ぜひ厚生労働省のサイトも読んでみてください」

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