■デマ7:子供達の表情や声が奪われるからマスクは不要
「確かにマスクによって、家庭外において子供の表情や声が奪われる面はあるでしょう。でも新型コロナウイルスが蔓延しているときには、コミュニケーション以上に感染しないことを優先したほうがいいのではないでしょうか。マスクを外して自由に表情や声をやりとりした結果、新型コロナウイルスに感染して生死の境をさまようことになったら困るからです」
■デマ8:マスクの有効性は証明されていない(飛沫はウイルスじゃない)
「新型コロナウイルスに感染している人の飛沫の中には、ウイルスが含まれています。ウイルスは感染者から単独で出ていくのではなく、飛沫(くしゃみ、咳、会話で口から飛ぶしぶき)の中に入って広がっていくものです。
まず、大きな飛沫は不織布マスクに捉えられます。空気中に浮遊する微小な液体や固体の粒子と空気との混合体をエアロゾルと言い、このエアロゾルにまで細かくなったウイルスを含む飛沫も、不織布マスク繊維の表面に付着しやすいのです。だから不織布マスクの効果は100%ではないものの、ウイルスは簡単には通り抜けられず、予防効果があります。マスクの有効性を示すシミュレーションや研究が続々と報告されています」
■デマ9:日光は2分でコロナウイルスを死滅させる
「日光の何がウイルスを死滅させると考えているのかわかりませんが、紫外線でしょうか。となると、これまでの夏にも流行が抑えられなかったため、現実的には予防効果はないでしょう。ワクチンのほうが確実です」
「医師は家族にワクチンを打たせない」の嘘
■デマ10:医師は自分の子供にワクチンを打たせない
「私の子供たちは12歳以上なので大人と同じ新型コロナワクチンですが、早めに接種しました。また周囲の医師も同じようにしています。子供の命や健康を守ることが第一目的ですが、親である私たち医師から患者さんに新型コロナウイルス感染症をうつさないこと、また家族や私が感染すると患者さんを診られなくなるからでもあります」
これ以外にも「新型コロナウイルスは存在しない」「PCR検査は信用できない」などの様々なデマがあるが、森戸さんも執筆者として参加している書籍『新型コロナとワクチンの「本当のこと」がわかる本』が詳しく回答している。
最後に子供の新型コロナワクチンの接種について、どう考えるべきか森戸さんに聞いた。
「根拠のない噂話やチラシではなく、正確な情報をもとに各家庭で話し合うといいのではないでしょうか。また何となく様子見をしているうちに、小児用新型コロナワクチンの接種会場が少なくなるかもしれません。ぜひ早めに検討してくださいね」
森戸やすみ(もりと・やすみ)
1971年、東京生まれ。小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都内で開業。医療者と非医療者の架け橋となる記事や本を書いていきたいと思っている。『新装版 小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK』など著書多数。