大手回転寿司チェーン「無添くら寿司」に勤務する従業員が、有給休暇の取得を店長から“拒絶”されるなど、取得しづらい環境に置かれていたことが、「週刊文春」の取材でわかった。労働基準法に抵触する疑いがある。
有休は法律で定められた労働者の権利だ。「半年間継続して雇われている」「全労働日の8割以上を出勤している」という2つの要件を満たしていれば、正社員・パートタイム労働者などの区分に関係なく、すべての労働者に付与される。
ところが、2017年4月から2020年10月まで宮崎県などの店舗で勤務した元社員は「くら寿司は、まともに従業員に有給休暇を取らせる気がありません」と憤る。
「2018年、副店長だった時にアルバイトに有休の存在を教えてあげたんです。すると店長に『なぜ会社の不利益になるようなことをする。要らんことを言うな!』と叱責された。そのアルバイトは有休取得を希望しましたが、店長に『お前は勤務態度が悪いからダメ』と“拒絶”されました」(同前)
有休を巡っては労働基準法が改正され、2019年4月から使用者(会社)は年次有給休暇が10日以上の全ての労働者に対し、毎年5日間、有給を取得させることが義務化された。
しかし、2018年4月から2021年6月まで都内の店舗などで勤務した別の元社員はこう明かす。
「在職中、退職時の消化も含めて一度も有休を取得できなかった。取りたい気持ちはありましたが……」
さらに別の元社員は「会社に勝手に有休を使われた」と証言する。
「2018年1月にノロウイルスに感染して1週間休んだのですが、上司に『有休使っておいたから』と言われました」(同前)
この3名以外にも、有休を満足に取得できなかった元従業員は複数確認できた。