医療、介護……青ヶ島が抱える“都会にはない”課題
佐々木 都会と違って、医療や介護のサポートが充実していないのは課題のひとつですね。診療所では手術はもちろん、人工透析などの難しい治療ができない。だからもしそういった治療が必要な場合は、島から出なきゃいけなくなります。介護施設もないので、介護が必要になったら家族がすべてのお世話をしなきゃいけない。高齢者が安心して住み続けるには、改善すべき点が多いです。
あとは、移住してくる人にとって不便な点もまだまだ多いと思います。島には商店が1つあるのですが、お弁当やお惣菜は売っていないので基本的に毎日自炊しなきゃいけなくて……。一人暮らしの人はもちろん、小さい子どもがいる家庭も大変ですよね。疲れて家事をしたくないときは誰にだってあるのに。
――先ほど「島ではお金を使う場所がほとんどない」とおっしゃっていましたよね。
佐々木 島外の方からするとお金を払ってサービスを受ける方が気楽だし便利だと思います。
――移住者が住みやすい環境にするには、まだ課題も残っているんですね。
佐々木 ただ、少しずつ「島外の人たちにも住みやすいようにしていこう」という動きが広まってきています。最近だと、「お金を払って食事ができる食堂を作ろう」という話が出ていたり。
島自体が変わろうとしているし、島外から来る人もチャレンジしたいことがあればどんどんやってみてほしい。新しいもの好きの島民が多いので、応援体制はばっちりです! これからは今以上に住みやすい島になって、Uターンする人や移住者を増やしたいと思います。
青ヶ島での“普通の暮らし”が伝わると嬉しい
――ありがとうございます。最後に、加絵さんにとって青ヶ島はどんな場所ですか?
佐々木 豊かな島だな、と思います。子どものときはその豊かさが当たり前で感謝することもなかったけど、大人になってから「なんて恵まれた土地なんだろう」って感じますね。豊かな自然があって、島民ひとりひとりが役割を持っていて、みんなで支えあって生活していて……。この島にいると、すごく“生きている”って実感できる。
私たち島民は、青ヶ島で“普通の暮らし”をしています。「青ヶ島ちゃんねる」で、少しでもその暮らしが伝わると嬉しいですね。
写真=佐々木加絵さん提供