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〈懲役18年判決〉「死刑制度を許せなくなった」原宿・竹下通りで起きた“無差別暴走テロ” 8人を撥ねた男の人生とは

 2019年1月1日、軽乗用車で東京・原宿の竹下通りを暴走し8人に重軽傷を負わせた事件。東京高裁は6月22日、日下部和博被告(24)の控訴を退け、懲役18年の判決を言い渡した。

 車で暴走した理由を「死刑制度に対する報復でやった」などと語っていた日下部被告。元日の夜に起きた凄惨な事件を報じた「週刊文春」の記事を再公開する。(初出:週刊文春 2021年3月4日掲載 年齢・肩書き等は公開時のまま)

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 東京・原宿の竹下通りで通行人を無差別に殺害しようと軽乗用車で暴走し、8人に重軽傷を負わせたとして、殺人未遂罪に問われた無職・日下部和博被告。その裁判員裁判が2021年2月18日、東京地裁で開かれた。

 事件が発生したのは、2019年元日の午前0時10分のことだ。日下部はシルバーの軽自動車で、明治通りから車両進入禁止の竹下通りへ走行。計4カ所で8人をはねた挙句、ビルに激突。降車して目撃者を殴って逃走したが、間もなく逮捕された。「死刑制度に対する報復でやった」などと供述したことから、海外で多発する単独犯のテロ行為になぞらえ、「ローンウルフ型」とも形容された。

通常時は多くの人で賑わう竹下通り ©iStock.com

「検察側は公判で動機について『18年7月のオウム真理教幹部13人に対する死刑執行を機に“死刑制度を支持する国民を許せない”と考えるに至り、テロ行為を計画した』と主張しました。実際、事件の直前には『オウムの報復』などと書き残していたことも指摘している。日下部は暴走テロを起こすため、わざわざ免許を取得し、大阪で借りたレンタカーで原宿まで移動。火炎放射器のように加工した高圧洗浄機を車内に積み込んだとして、殺人予備罪でも起訴されています」(社会部記者)

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