「未成年舞妓に番号札をつけ…」企業主催の一気飲み大会
「私は花街の置屋に数年前まで在籍していました。まず、未成年の舞妓による飲酒についてですが、これは当たり前に行われていました。特にひどかったのは、毎年夏に開催されるとある企業が主催の一気飲み大会です。一番早くビールを飲めそうな舞妓や芸妓を、企業の会長、社長陣が予想するというかなり大きな催しでした。
夕方に会場である料亭に集められた舞妓は、主催企業のロゴが入った浴衣に着替え、番号札をつけられます。お客さんの予想が終わると、一気飲みのスタート。社員の方が『頑張れー!』と言いながら太鼓を鳴らす間に一番早く飲んだ舞妓が勝者となります。勝った芸妓や舞妓には、金一封や金券が渡されました」
客は30人、芸妓や舞妓は20人ほど。その中には未成年の舞妓もいたのだという。
「花街側が参加者の年齢を主催企業に偽っていたのか、企業側が黙認していたのかは分かりません。どちらにしても、未成年の一気飲みが行われていたのは確かです。
私の友人の舞妓は、お酒が飲めないのに強制的に参加させられ、酔いつぶれていた所をタクシーに放り込まれ、その後、路上で倒れているところを発見されました。急性アルコール中毒になるなど深刻な事態になっていたらどうするつもりだったのだろうと、危機感のなさに背筋が凍りそうでした。
後輩の話によると、近年の大会では、舞妓はノンアルコールビールを一気していたそうです。ノンアルコールじゃ飲めないと言ってビールを飲んでいた子もいたそうですが……」
常連客の述懐「未成年の飲酒に加担してしまった」
現在も花街に通う中年男性もこう述懐する。
「こうなってから振り返ると、未成年の飲酒については私も加担してしまった部分があると反省します。最初は10代の舞妓さんにお茶を勧めていたのですが、『私はウイスキーの水割りが好きなの』と言われてしまうと止めるのは無粋な気がして……」
京都のお座敷遊びといえば、金銭的に余裕のある人が楽しむ高級なものというイメージが強い。企業の社長や大学関係者、芸能関係者など社会的地位の高い客が多いこともあり、花街の人間の口は堅く、舞妓たちにも携帯電話を持たせないなど、外部との接触手段を制限しているため、内情はなかなか伝わってこない。
「京都には五花街といって、五つの花街があり、それぞれに特色があるんです。お客さんも、最も格式が高いとされる祇園で舞妓さんの舞踊を堪能した後、親しみやすい雰囲気の先斗町に繰り出したり、その時々で使い分けているんです。
そんな花街の一部の町、一部の置屋で舞妓さんの性被害、人権侵害があったのは確かだと思います。実は私も、あるお客さんに『お風呂入りができる置屋があるよ』と囁かれたことがあります。それはなんですか?と問うと、『混浴ができるんだよ』と。それを聞いて気分が悪くなりました。
私はあくまで京都の雰囲気が好きで、舞妓さんや芸妓さんと日本文化について話をするのが好きなんです。『お風呂入り』なんて、口に出すのも憚られる悪しき慣習ですよ」(同前)