後継者不足などの理由で、衰退の一途をたどる見世物小屋。「日本最後の見世物小屋」と言われている大寅(おおとら)興行社からのオファーにより、パフォーマンス・演出を一手に担うことになった劇団「ゴキブリコンビナート」は、そこでどんな芸を見せているのだろうか?
今回は「見世物小屋の演目」について話を聞いた。(全3回の2回目/#1、#3を読む)
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「串を刺しっぱなしで生活しましたね」
――ヘビ女(改めヤモリ女)のほかにも、ドライアイスや火を口に含む芸も拝見しました。見世物小屋において「食べる芸」は重要ですか?
Dr.エクアドル 僕としては特にこだわりはありませんが、人気があるんで必然的に優先順位が高くなってきますね。かつてのヘビのように咀嚼して飲み込むわけではないけれど、火を飲み込んだり、噴き出したように見せる火焔の術とか、ドライアイスを口に入れて白煙を漂わせる野人とか。基本、見世物的に成立するものであれば、何でもいいんです。
――Dr.エクアドルさんの、頬に串を刺す芸も、衝撃でした。
Dr.エクアドル 3日間行われる札幌の祭りでは、串を刺しっぱなしで生活しましたね。刺した翌日抜いて、また刺し直すの嫌なんで。刺さったまま寝て、食事はゼリーとかの流動食。着替えはできないので、しない。
博多の祭りは1週間あるのでさすがにきついなと思って4日目に抜いたら、4日も差し続けてるとなかなか塞がらなかったですね。
見世物小屋では、いくつもの演目を入れ替わり立ち代わり回していきますが、スタンバイしている場から舞台へ移動するために、丸太の足場をよじ登ったりして出ていくわけですよね。そうした時、無意識に首を回してしまい、串が引っかかると当然痛い。ところがです。何日かやってると、ぶつからないルートを体が自然に覚えるようになるんですよね。脳ってすごいですね。