発症から3日後、熱は少し下がったが「驚くほどの量の痰が」
発症から4日後、熱は少し下がり、喉の痛みも軽減された。ところが、その代わりに始まったのが咳。そして、痰が出てくるようになったという。
「驚くほどの量の痰がでるようになったのです。痰を切ろうとすると、その前に息を大きく吸いますよね。その時に痰も吸い込んでしまって気管に入りそうになったんです。よく事故が起きたこんにゃくゼリーの窒息のようなイメージです。死ぬかと思いました。現在のコロナは重症化すると言うことはほとんど無いと考えられており、自宅で無くなる例はどういう事が起きているのかと思っていましたが、高齢の感染者などではこのように大量の痰が寝ている間にたまり、突然窒息をしているのかもしれないという考えもよぎりました。こういったことは自分がかかって初めて感じたことでした」(同前)
さらに翌日には、胸の痛みが発生。
「ただの痛みではなく、心臓の『ドクン・ドクン』という鼓動にあわせて『ズキン・ズキン』と痛む胸痛です。(自分の病院で検査を行ったところ)レントゲンには軽度の肺炎が見られました。『あ、肺炎あるんだ』と驚きましたが、怖くはなかったです。若い世代は肺炎では重症化しないので」(同前)
8月11日の朝に体温を測ると36.8℃。この日を境に熱は上がらなくなったが、しばらくは「咳と痰が出る」という症状が続いたという。15日には職場に復帰した。
武藤医師は言う。
「今振り返ると、備えがもっと必要だったなと思います」
「命の不安こそなかったですがやはり非常に苦しい10日間でした。感染は誰にでも起きる可能性があります。今振り返ると、備えがもっと必要だったなと思います」
武藤医師が高熱対策で「役に立たなかったもの」と「助かったもの」、療養生活のために今から備蓄しておくべきもの、武藤医師が療養中に「ひょっとして…」と感じたコロナに罹患した高齢者の突然死の理由、感染した人が知っておくべき「病院に行く基準」など、“コロナのスペシャリスト”武藤医師による「痛恨のコロナ感染記」の全文は、現在配信中の「週刊文春 電子版」に掲載されている。
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