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園長の口癖は「俺は知らない」「そんなことは言ってない」

「事故を聞いたとき、率直なところ『やってしまったな』と思いました。立義(増田園長)の父親は海軍兵学校の出身で、予科練の帽子を被り、竹刀を片手に『親を大事にしろ』『いじめはダメだ』と子供たちを厳しく指導していました。一方の立義はボンボン気質。性格は親父とは正反対で、芯が全くない。口癖は『俺は知らない』『そんなことは言ってない』。いい加減な性格だから、子供の頃は『ええからげん八兵衛』と呼ばれていました」

 2002年に川崎幼稚園の園長に就任した増田園長は、近隣の幼稚園を買収するなど経営拡大に熱を上げていた。だが手を広げすぎるあまり、肝心の子供の扱いや園の管理がなおざりになるのではないかという懸念の声は少なくなかった。

立派な園舎が数棟ある

「増田さんは近隣の幼稚園をどんどん自分の傘下に収め、ついには隣町の幼稚園にまで手を出そうとしました。『そこまでやらなくていいんじゃないか』と隣町の議員が怒ったこともありましたよ。市議会や役場の職員のなかでも、『あんなに拡大して大丈夫か』『職員が足りなくなるに決まっている』と不安視する声はたくさんありました。ただ、地元の議員にうまく根回しをしたからか、結局は認められることになりましたが……」(地元関係者)

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バスを塗りつぶす“ペインティング”

 増田園長は2012年に園児を集めて静岡県警牧之原署と共同で交通安全パレードを実施しているほか、2014年には交通安全活動に尽力したとして、榛原地区安全運転管理協会から表彰状を受け取ったりするなど、“地元の名士”として知られていた。前述の知人が続ける。

「交通安全パレードも含めて、立義はパフォーマンスをするのが得意でした。今回、千奈ちゃんが死亡したバスにある窓ごと車体を塗装する“ペインティング”も、周辺地域で始めたのは、川崎幼稚園が最初だったと思います。車内が見えなくなってしまって、見送るお母さんが可哀そうだなと思っていました。あくまで可能性ではありますが、このペインティングがなければ、助けを呼ぶ千奈ちゃんに気付いた人もいて、こんな悲劇は生まれなかったのかもしれません」

事故の起きた送迎バス(川崎幼稚園HPより)

 炎天下のバスに取り残され、失われてしまった3歳女児の命。管理体制に不備はなかったのか。“うっかり”で済む事故ではない。

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