先月、偽物の国会議員バッチをつけて無断で外務省に出入りしていたとして建造物侵入の疑いで逮捕されていた藤本叶人容疑者(22)が、9月20日、同容疑で再逮捕された。先月の逮捕容疑となった外務省の侵入に加えて、同じ方法で「国会議事堂、国交省、経産省、厚労省にも入った」と供述したという。


 侵入の理由について「偉い人の気分になりたかった。承認欲求を満たしたかった」と供述していた藤本容疑者。警備が強固であるはずの国家の中枢は、なぜ“偽物バッチ”の男の侵入を許してしまったのか。「週刊文春」の記事を再公開する(2022年9月15日号、年齢・肩書などは当時のまま)。

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 元首相暗殺の衝撃も覚めやらぬ霞が関で、またも警備の不備が発覚した。偽物の国会議員バッジを付けて外務省に出入りしたとして、警視庁麹町署が8月31日、建造物侵入の疑いで藤本叶人容疑者(22)を逮捕したと発表したのだ。

 藤本容疑者は8月24日午後、スーツ姿に国会議員バッジを付け、外務省の本庁舎に正面玄関から堂々と出入りしていたという。

警備員が立つ外務省の入り口 ©共同通信社

 警視庁担当記者の話。

「その日の夜に外務省から『不審な男が入り込んでいたようだ』と通報があり、藤本容疑者が浮上した。調べに対し、『偉い人の気分になりたかった。承認欲求を満たしたかった』などと供述しています。他に厚労省、国交省、経産省に出入りしていたことも分かっており、『この男がテロリストだったら……』と霞が関は大騒ぎになりました」

藤本容疑者は議員バッジをどう入手したのか

 国会議員バッジ、正式名称「議員記章」は衆院が赤紫色、参院が紺色の台に金色の菊の紋章をあしらったもの。親指ほどもない大きさだが、効果は絶大だ。というのも、大半の官庁は現在、ゲートにカードをピッとつけて認証する仕組みだが、現役官僚は「国会議員は実質的にバッジを確認するだけで通す運用になっている」と明かす。

 そんな貴重な代物を藤本容疑者はどう入手したのかと言えば、「ネットで偽物を購入しただけ」(前出・記者)。だが、本物の議員バッジの入手もそんなに難しいことではないようだ。