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不確かな情報を発信する“てどこん氏”

 米海兵隊が、Facebookでの海兵隊員の記事について、「ご迷惑をおかけした読者の皆様、並びに関係各位に深くおわび申し上げます」との謝罪文を添えた上で「訂正」した。つまり、美談はデマだったことが発覚したのである。これを受け、産経は記事を削除した上で、沖縄2紙に謝罪。記事を手掛けた当時の支局長は更迭へと追い込まれてしまった。

 問題となった産経記事の掲載前には、この支局長と、てどこん氏が記事の内容をめぐるやり取りをする痕跡がFacebook上に残っていた。

 米兵の身を案じたのか、沖縄メディアへの敵愾心がそうさせたのかは明らかではないが、“反・反基地”の思いを同じくする者同士の連携プレーが、この「デマ騒動」の拡大の一因になってしまった模様だ。

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「その後、記事を手掛けた産経の元支局長は現場復帰が叶わぬまま退職し、今は日本維新の会に職員として籍を置いています。てどこん氏は、この一件以外にも不確かな情報を発信しがちな人物として知られており、自民党関係者ら保守界隈の間でも“要注意人物”とされています」(同前)

ひろゆき氏がリツイートしたツイート(本人のTwitterより)★

 てどこん氏を巡っては、沖縄県知事選直前の7月にも騒動が起きている。玉城デニー知事が旧統一教会の会合に参加した疑惑の根拠とする画像をツイッターに投稿し、地元紙にこの投稿内容が「誤り」であるとするファクトチェックを受ける事態を招いたのだ。

一方で、撮影する側に反対派への「挑発行為」があるのも事実

 ひろゆき氏が、てどこん氏の投稿した動画にリツイートした後も、てどこん氏は反対派の横暴さを印象づけるような動画や、辺野古移設反対派に地元以外の人たちが多数入り込んでいる“証拠”を示すような内容のものを多く拡散。こうした事態に、地元関係者からも違和感を覚える声が上がっている。

 沖縄出身のある自民党員はこう首をかしげる。

「私自身は、辺野古容認の立場で、反対派の主張には承服しかねる部分も多い。ただ、SNSで出回っている、反対派の乱暴狼藉ぶりを映す動画では、映り込んでいない部分で、撮影する側による挑発行為があるのも事実です。拡散している動画の撮影時期もばらばらで、うるま市で米軍属に女性が強姦し殺害された2016年前後に撮影されたものや、県北部の東村高江での米海兵隊北部訓練場の返還に伴うヘリパッド移設工事の反対運動の時の動画も含まれる。

 沖縄では、米軍の事件・事故の発生状況や社会情勢の変化によって反対の声の高まりも変わってくる。ツイッターなどのSNSでの議論は、十把一絡げにすべての問題を『辺野古問題』に結びつける乱暴さは感じますね」

辺野古への基地移設に抗議する現場で撮影したひろゆき氏(本人のSNSより)

 まだまだ収束の気配をみせない「ひろゆき騒動」。論争の主戦場となっているSNSでのファクトチェックも、重要になってきそうだ。