朝のワイドショーで視聴率トップを走るテレビ朝日の『羽鳥慎一モーニングショー』での発言が事実無根だったとして、10月4日に10日間の出勤停止の処分を受けた“看板コメンテーター”の玉川徹氏。処分発表の2日後の10月6日、テレビ朝日で開かれた定例の「放送番組審議会」で、玉川氏に対し、審議委員から厳しい意見が相次いでいたことが「週刊文春」が入手した、放送番組審議会での発言を記録した社内資料でわかった。
玉川氏は安倍晋三元首相の国葬を取り上げた9月28日の放送で、菅義偉元首相の弔辞が感動を呼んだことについて、「当然、これ電通が入ってますからね」と国葬に広告代理店の電通が関わっていると断じていた。
10月6日、テレビ朝日で「放送番組審議会」が開かれた。これは放送法に基づき、各局が放送番組の適正化を図るために外部有識者の声を聞く場として設置している機関である。
テレビ朝日の審議会は9名の委員で構成されている。委員長に幻冬舎社長の見城徹氏、副委員長に弁護士の田中早苗氏、他の委員は作詞家の秋元康氏、脚本家の内館牧子氏、スポーツコメンテーターの小谷実可子氏、作家の小松成美氏、東京大学大学院情報学環教授の丹波美之氏、サイバーエージェント社長の藤田晋氏、ジャーナリストの増田ユリヤ氏。
通常、審議会では課題番組が設定されており、それについて議論されるが、6日は「番組全般」という、何を取り上げてもよいという会だった。
「2時間にわたって行われた会のほぼ全てが、玉川発言に関しての議論でした。一部、かばう意見もありましたが、9割が批判的なものでした」(テレ朝幹部)
小誌は丹波氏以外の8名が出席した6日の審議会の社内資料を入手した。「テレビ朝日HD 局長会」「第632回 放送番組審議会報告 10月6日(木)開催」と題された資料がそれだ。放送番組審議会での発言内容を要約したこの文書では、どの審議委員が発言したのかは明記されていないが、その中身はさながら“玉川糾弾会”である。
最も目立ったのが、玉川氏のコメンテーターとしての資質を問題視する意見である。例えば次のような発言だ。
「(国葬の入札を巡る問題について)玉川さんは本来知っていて然るべきなのに知らなかった。記者の基本動作ができていないということだと思う」
「ディレクターであれば、取材し根拠も大切にするはずで、勘違いでは済まない。非常に自信をもって発言していたのが、すぐに謝罪して頭を下げて驚いた。何を根拠にあれだけの問題を公器で言ったのだろうか」
「玉川さんは前々から予断をもって何かを言うところがあったと思う。これまで番組も上司たちもかなり厳しく、玉川さんにその点は言ってきたと聞いている。庶民の気持ちを代弁した発言はいいと思うし、『モーニングショー』の世界観にも影響して番組を作ってきた1人ではあるが、今回の問題は起こるべくして起こったとも思う」
「玉川さんは一番攻めた発言をすると感じていて、テレビ朝日の社員だと知った時には驚いた。あのような個性があって、発言に影響力があって注目される人が社員であるということは、会社側と本人、双方にリスクがある」
もはやコメンテーターとして表に出るべきではないという厳しい意見もあった。