NTT東西、NTTドコモなど約33万人もの社員を擁するNTTグループ。島田明社長(64)の肝いりで進められている人事改革の内容が「週刊文春」の取材でわかった。
澤田純会長(67)が掲げる“ワンNTT”の下、大鉈を振るう組織改革を推し進めてきた同グループ。小誌はこれまでNTTグループ全体で賃下げの動きがあることやドコモショップの大量閉店計画など、その過程で何が起きているかを詳報してきた。
今年6月の株主総会で、澤田氏の後任として社長に就任したのが島田氏だ。
「労務出身。調整役としての手腕が評価されており、“永田町担当”とも言われていました。かねてから『社長に就任したら人事や処遇についての制度改革を行うだろう』と見られてきた。昨秋から会社側と組合の折衝が本格的に行われてきました」(通信担当記者)
そして今秋、労働組合と会社側は人事制度の見直しについて妥結。10月から「新評価制度」がスタートしたのである。
小誌は労組が組合員に配布した資料を入手。そこには、人事制度改革の全貌が記されていた。
まずは人事制度について。資料には〈現行の役職は廃止します〉と明記されている。その上で、〈市場でも通用する専門性を高めるため、市場に着目した専門分野に分類し、必要な専門性と行動レベルを明確化〉するために「グレード基準」を導入するとしている。
30代営業社員が解説する。
「『営業系』ではセールスやマーケティング、『開発系』では開発エンジニア、『コーポレート系』では総務・人事など、グループ共通の18の専門分野が設定されています。このそれぞれの分野における専門性に応じ、社員を最上位の『グレード1』から『グレード6』までにランク分けします。役職はトップの『担当課長』以外すべて撤廃されます」
つまり、全ての従業員が“ヒラ社員”となるわけだ。どのようにグレードを分けるのか。
「例えば『営業系』であれば中小企業診断士や簿記1級などの資格を取得することがグレード昇格の基準として明記されました。こうした“外部基準”を評価に取り入れることで、中途採用の優秀な人材を最初から高いグレードで採りたいという思惑が見えます」(同前)
気になるのは給与制度だ。