インターネットを中心に情報が溢れ、ただでさえ事実の見極めが難しいこの時代、荒唐無稽な「陰謀論」を信じてしまう人が増えている。コロナ禍、不況、先の見えない生活への不安から、藁をも掴む気持ちで陰謀論に救いを求めてしまう人が多いのかもしれない。
ここでは、さまざまな都市伝説や陰謀論の信憑性を検証した『謎解き「都市伝説」』(彩図社)より一部を抜粋。「コロナ禍を予言した書」とSNSで話題になった『日月神示』の真相を解き明かす。(全2回の1回目/後編を読む)
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『日月神示』伝説の内容
1944年6月10日、画家・神道研究家の岡本天明(1897~1963)は千葉県印旛郡公津村台方(現・成田市台方)にある麻賀多神社の末社・天日津久神社を参拝していた時、神がかりとなり、文字と記号の羅列を書き連ねるようになった。岡本天明が「神様の御真筆」と信じた自動書記(※1)は1961年まで続いた。その原文および天明自身による解読を総称して『日月神示(ひつきしんじ)』という。
『日月神示』は戦時中、すでに日本の敗戦を明確に予言したことで知られている。
「日本の国は一度はつぶれたようになるのぞ。一度は神も仏もないものと皆が思う世が来るのぞ」(第1巻第9帖)
「東京も元の土に一時はかえるから、そのつもりでいてくれよ」(第1巻第11帖)
「メリカもキリスは更なり、ドイツもイタリもオロシヤも外国はみな一つになりて◎(※2)の国に攻め寄せて来るから、その覚悟で用意しておけよ」(第3巻第3帖)
「いよいよ戦烈しくなりて、喰うものもなく何もなくなり、住むところもなくなったら行く所なくなるぞ」(第3巻第9帖)
「メリカ、キリスは花道で、味方と思うた国々も、一つになりて攻めて来る。(中略)北から攻めて来る時が、この世の終わり始めなり」(第3巻第15帖)
つまり、戦争が進むにつれて日本軍は身動きがとれなくなっていく。国民は食糧どころか住む家まで失い、東京は焦土となる。アメリカ(メリカ)、イギリス(キリス)の連合国側の進撃の前には日本・ドイツ・イタリアの三国同盟もソ連(ロシア=オロシヤ)との日ソ中立条約も無効化し、ついにはソ連も北から攻めて来ることで日本はいったん滅びるというわけである。第二次世界大戦はこの通りに進んだわけでその的確さには驚かざるを得ない。
最近では『日月神示』はコロナ禍を予言したということで改めて注目されている。たとえば『日月神示』は敗戦を超える世の立替えは2020年前後だと予言していたという。2020年はまさに世界的なコロナ禍が起きた年である。
また、『日月神示』はその世の立替えは「五六七」で始まるとも予言している(第7巻第2帖)。「五六七」を『日月神示』では「ミロク」と読んでいるが、これはコロナとも読める。
また、『日月神示』第13巻第14帖などでは「松食」により「わからん病」も治ると告げられている。これは、実は猛毒である新型コロナウィルスワクチンの害を、松葉茶で防ぐことができるという意味なのだという。
『日月神示』の新型コロナウイルスおよびコロナワクチン関連予言はSNSで広まり、特にスピリチュアル関係者の間で影響力を持ちつつある。