メッセージの存在を知っていた局員が上層部を問い詰めると…
「入江さんは2012年から約6年社長を務め、聴取率1位の継続に尽力してきました。闊達な人で、人望も厚く、社内に自由な空気を作ってくれていた。三村社長の就任とともに会長となり、2021年6月末で退任。その後、1年間アドバイザーを務め、2022年6月末で退職しました。会社を去るにあたって、総務部が入江さんに翌7月の全社員集会で読み上げるメッセージを依頼し、入江さんもこれを快諾。メッセージを総務部に託したんですが……」
ところが7月の全社員集会では、ついぞ入江氏からのメッセージが読み上げられることはなかった。メッセージの存在を知っていたある局員は不審を感じ、10月に行われた全社員集会で上層部を問い詰めた。質問を受けた総務系の社員は想定外の問答に慌てふためき、満足のいく回答を与えられなかったという。“隠蔽”の真意をある局員はこう推し量る。
「入江さんのメッセージが、現在の三村体制を暗に批判しているとも読めたからだと思います。前社長のお小言には耳を貸したくないということだったんじゃないでしょうか」
封印された入江氏の“箴言”を入手
文春オンラインは、その“隠蔽”された入江氏が社員に宛てたメッセージを入手した。
〈三村社長のリーダーシップにより、古きTBSラジオの非常識はずいぶん改革、改善され、スピードと効率を求める強靭でコントロールされた組織に変貌しつつあり、その成果も出ています。これは全社員の努力の賜物であり、大変な偉業です〉
三村体制をこう評する一方で、次のような懸念が続く。
〈職場に笑い声や怒号が時に聞こえるコミュニケーションや交渉プロレスが乏しいと感じています。コロナの影響もあるでしょうが、まるで機械仕掛けの組織になっているのでは〉
〈番組制作についてもマニュアル作成の作業が進んでいます。コンテンツ制作までも、このマニュアルが支配的になるのでは。これも心配です。このような状況で、はたして人を揺り動かすコンテンツが作り出せるのでしょうか〉
〈ある考え方だけが支配的になると、そこには必ず陰口、告げ口、ゴマスリが蔓延ります。
クリエイティブな組織はそうなったら終わりです〉