日本の人権保護の遅れを問題視しているメディアも
喜多川氏が、もしアメリカで、478人の被害者たちに告訴されて有罪になった場合、終身刑に等しい実刑判決が下るのは必至だろう。しかし、彼は重罪を免れたどころか、他界した時は多くの人々がその功績を賞賛した。だからか、SNSを見ると、こんなコメントも上がっている。
「奴が生きて告発者に向き合っていないことが悲しい。悔しい」
日本の人権保護の遅れを問題視しているメディアもある。
フォックスニュースは「批評家らは、ジャニーズ事務所で起こったことは恥ずべきことであり、民主的な経済大国と言われている日本が、人権保護においていかに遅れているかを示していると述べている」とし、日本では法律的に子供に対する人権保護が強化され始めたのはごく最近のことだと以下のように指摘している。
「日本での動きは、子供に対する暴力を正式に禁止する法改正がやっと3年前に施行され、児童虐待や育児放棄の報告が蔓延している国(日本のこと)にとってはリトマス紙となるかもしれない。 日本は今年初めて性交同意年齢を13歳から16歳に引き上げた」
アメリカでも被害者が少年であるケースは少なくない
比較までに、アメリカの性交同意年齢は州により異なるが、16~18歳。アメリカではリベラルなカリフォルニア州では性交同意年齢は18歳で、この年齢未満の人と性行為を行った場合、法律的に強姦罪に問われる可能性がある。喜多川氏の性加害による被害者の中には、当時18歳未満の少年もいたことを考えると、カリフォルニア州においては立派な強姦罪が成立する可能性もあったわけだ。
もっとも、性犯罪に対して厳しいアメリカでも、被害者が少年であるケースは少なくない。牧師が少年に対して性的虐待を犯すというケースも度々報じられてきた。2004年に、「米カトリック司教協議会」の下で行われた調査によると、1950年~2002年の間に、神父や助祭などカトリック教会の全聖職者の約4%にあたる4,392人が、10,667人の被害者から、未成年に対する性的虐待(セクハラ発言からレイプに至るまで、性的虐待の程度は幅広い)を理由に告訴されている。
また、米ボーイスカウト連盟の内部では、80年間にわたって、成人の男性リーダーたちがボーイスカウトの少年たちに対して性的虐待を行い、多数の訴訟が起きた。同連盟が2020年に破産後には、米連邦裁判所に9万2000件を超える性的虐待の訴状が提出された。2021年には同連盟の保険会社が、性的虐待のサバイバーのためのファンドに8億ドル支払うことに同意、2022年にも和解の一環として、ファンドに24億ドル以上を支払うことに同意している。