2024年は韓国の音楽市場を攻略する絶好のタイミングに
YOASOBIは、韓国と日本の流行がインスタグラムとTikTokを通じてほぼリアルタイムで共有されている現代において、魅力にあふれる音楽はいつでも韓国のトレンドになれるということを証明してくれた。
アニメタイアップであれ、バンドであれ、バラードであれ、ヒップホップであれ、ボーカロイドであれ、どんなジャンルだろうと関係ない。
さらに、今年のJ-POPブームをきっかけに、日本の音楽に対する韓国人の心理的なハードルもまた、かつてないほど低くなっている。2024年は日本の音楽関係者にとって韓国の音楽市場を攻略する絶好のタイミングになるかもしれない。
ただ、YOASOBIのようなアーティストが今の人気を来年、あるいは再来年まで維持できるかという質問には疑問が残る。
J-POPが韓国音楽シーンで一つのジャンルを確立しつつあることは明らかだが、どうしてもまだ音楽自体よりは一種のスナックカルチャー(※スナック菓子のように簡単に楽しめる文化)として認識されたり、消費されたりする傾向にあるからだ。
韓国で新たな可能性を開いた、YOASOBIの存在
「アイドル」のヒットを振り返っても、大衆のほとんどは「日本の音楽」であることを認識してというより、自分の好みに合ったコンテンツに遭遇したという感じに近いだろう。そのため、J-POPを意識的に探して聴く人はまだそれほど多くはないのだ。
それでも、多様な音楽を楽しみたい韓国の大衆が、J-POPを一つの選択肢として受け入れ始めたということは、ポジティブで大きな変化といえるだろう。筆者自身、韓国にいるJ-POPファンの1人として、例年に増して多くの人々と日本の音楽を共有できたという幸せな実感がある。
韓国・仁川で開かれた「ペンタポートロックフェスティバル」では、16年ぶりに韓国を訪れたELLEGARDENが登場し、聴衆は「Make A Wish」を合唱した。New Jeansの「Ditto」を藤井風がカバーしたことには驚かされた。「釜山国際ロックフェスティバル」では10-FEETの「第ゼロ感」を通じて聴衆は一つになって盛り上がった。ONE OK ROCKの来韓公演では、なかなかライブで披露されることのなかった曲の一つである「C.h.a.o.s.m.y.t.h.」に大きく心を揺さぶられた。
このように、今年は韓国人にとって、J-POPがさらに親密なものとなり、新しい領域への歩みを感じさせるかのような1年だった。その勢いを牽引し、韓国内で新たな可能性を開いたのが、YOASOBIという存在なのだろう。