1ページ目から読む
4/4ページ目

押せないもの、押してはいけないものも…

 さて、このように便利なボットですが、その特性上、利用にあたっては気をつけなくてはいけないことや、注意しなくてはいけないこともいくつかあります。

 まずひとつは、どんなスイッチであっても必ず押せるわけではない、ということです。世の中に存在するスイッチは、軽く押すだけで反応するものもあれば、グッと力を入れなければ押し込めないものまで、さまざまな種類があります。また押す深さも、スイッチごとに異なります。

 現行のボットは、細かな調整機能が用意されていないため、ユーザの側でボットの下にプレートを挟んで高さを調整したり、アームの先端に突起を付けて深く押せるようにしたりといった工作が、必要になることもしばしばです。どれくらいの手間がかかるかは、実際に取り付けて試してみるまでわかりません。どうしてもダメな場合は、スッパリとあきらめる割り切りも必要です。

ADVERTISEMENT

 またボットの取付は両面テープで行いますが、スイッチを押した瞬間にボット本体が外れないよう、どのボットも両面テープの粘着力は非常に強く、それが災いしてボットを貼り付けている土台の側が外れるトラブルも起こりがちです。同じ理由で、何度も試し貼りをしていると粘着力が低下し、両面テープの交換が必要になることもしばしばです。

ボットを使い、殺虫スプレーを手放しで噴射させられないかと筆者が工作してみた図。残念ながらトリガーが硬すぎて押すことができませんでした。このように、形状的には可能に見えて実際には押せないことはよくあります 
照明スイッチプレートにボットを取り付けるための専用枠もサードパーティから発売されています。ただしあらゆる製品にこうしたオプションが存在するわけではありません

 もうひとつ、安全性についても考慮する必要があります。例えば暖房器具にこのボットを取り付けていて、地震などで転倒した状態や、上に何かが覆いかぶさった状態で、うっかりスイッチをオンにした時の危険性は容易に想像がつくでしょう。特に外出先からボットを操作した場合、スイッチがきちんとオンになったのか確認のしようがないため、こうしたリスクはより高まります。

 そのため最近では、暖房器具などでは、こうしたボット製品をはじめとした外付け装置による遠隔操作を行わないよう、本体のラベルに明記しているケースも見られます。メーカーにとっては本来望まれざる機能であり、ユーザの側はそうしたメーカー側の意図も踏まえて、導入するか否かを判断したほうがよいでしょう。

 ちなみに、こうしたボットを使った家電製品の遠隔操作は、経済産業省による電気用品安全法の「電気用品の技術上の基準を定める省令」で、詳しく条件が定められています。具体的には、遠隔操作に伴う危険源がないこと、通信回線が途絶しても安全状態を維持できること、出荷状態において遠隔操作機能を無効にすること、などです。これら条件を満たさない家電製品では、利用は控えることをおすすめします。

「電気用品の技術上の基準を定める省令」では、家電製品を遠隔操作するにあたっての諸条件について細かく定められています(経済産業省のホームページより抜粋)
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/gijutsukijunkaishaku/beppyoudai8.pdf

 以上のように、利用にあたって気をつけなくてはいけない点はいくつかありますが、スイッチが押し込む構造で、かつスイッチの周辺にボットを貼り付けるスペースさえあれば、あらゆる製品を操作できてしまう汎用性の高さは、特にズボラな人にとっては魅力的です。実売価格も2千~4千円程度と安価で、手軽に試せるこの「ボット」、本記事を読んでピンと来た人は、ぜひ手に入れて、その使い道を探ってみてください。