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 では直近の2021年に開催されたドバイ万博は、どれくらい観光振興に役立っただろうか? 多額のオイルマネーと中東・アフリカ地域初の「登録博」(総合的なテーマを扱う大規模な万博)であったにもかかわらず、会期中の海外からの観光客は740万人程度。日本でも大々的な報道があったが、コロナ禍だったこともあり、関係者以外、日本からの万博見学の渡航者は非常に少なかったと言われている。

 それに加えて、オリンピックでは多額のダークマネーが裏で動いていたことが後に判明し、逮捕者まで出す事態となった。国策のイベントには多くの税金が投入されるが、私たちが面倒な確定申告などをして国に納めた税金が特定の業者の懐を肥やすようなことに使われていたのを知ると、大イベントが本当に開催国や開催都市にプラスになるのかという疑問がぬぐえない。

 2025年の大阪・関西万博をめぐっては、費用の相次ぐ上振れや建設計画の遅れなどもあって、開催前からすでに多方面からその意義を疑問視されている。しかも、大阪・関西万博は、終了後同じ場所で計画されているIR(統合型リゾート)の露払いの役目も担っていることが周知の事実となっている。IRも観光振興が主要な目的の一つであるが、「統合型」という名前とは裏腹に、「カジノ解禁」がIR事業の中心である。カジノは一部の人にとっては魅力的な「観光資源」だろう。不夜城のようなラスベガスのにぎわいやマカオの夜に輝くカジノのネオンサインは、魅力的に映るかもしれない。

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©hoyano/イメージマート

 しかし、公営ギャンブルやパチンコがほぼ自由に楽しめる国にさらにカジノを作ったとして、どのような人がやってくるのだろうか? アジアには、マカオの他にも韓国やシンガポールなど、カジノを楽しめる国がすでにある。また、日本を訪れる人の多くは、日本の漫画やアニメ、日本食、あるいは歴史を重ねた京都や鎌倉のたたずまいに魅力を感じてやってきている。そしてそういった人たちだけで、すでに各地でオーバーツーリズムが深刻化している。それに加えて、どんな人を呼びたいのだろうか?

「国策」の危うさ

 そもそも、国が率先して旗を振っているものは、本当に国民ファーストで行おうとしているのかどうか、ある程度疑ってかかった方がいいのではないか。

 マイナンバーカードは、当初の構想とは異なり、いつのまにか様々なデータと紐づけされるようになった。しかも、健康保険証と一体化されることが決まり、「大切なので家で保管するべき」ものだったはずが、財布に入れておかないと病院で受診さえできないほどの重要なアイテムへと変わってしまった。

 カード1枚で何でも証明できたりすることはたしかに便利かもしれないが、その分リスクは大きい。今の世の中、スマホ一つで財布の代わり、時計の代わり、交通カードの代わり、アドレス帳の代わりになるのは、すこぶる便利だが、スマホを家に忘れたり紛失したりしてしまうと、日常生活への影響は計り知れない。スマホはまだ自分で納得して購入しているのである意味では自己責任だが、マイナンバーカードを日々持ち歩くことになるリスクは、きちんと説明されていない。