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小学校と日本人の「光と影」
それを映画の中で的確に指摘しているのが、國學院大学の杉田洋教授だ。給食や運動会など特別活動が専門で、この小学校で教師を対象に講演を行った。日本が戦時中、学校で軍事教練をして戦争に駆り立てていたこと。今も子どもたちに連帯責任を負わせるような教育が行われ、いじめを生む元になっていると指摘した上で、
「日本の集団性の強さ、協調性の高さは世界がまねたいことの一つでありますけど、これは実は諸刃の剣であることをよく知っておく必要があります。日本のやり方は果たして本当にいいのか」
教師たちはメモを取りながら真剣なまなざしで聴いている。この場面をあえて配したところに山崎監督の問題意識が表れているように感じた。英語でのタイトルもそうだろう。
「THE MAKING OF A JAPANESE」(日本人の作り方)
日本の子どもたちは小学校で「日本人」になる。小学校と私たち日本人の「光と影」を見事に描き切ったドキュメンタリーだ。
『小学校~それは小さな社会~』
監督・編集:山崎エマ/2023年/日本・アメリカ・フィンランド・フランス/99分/配給:ハピネットファントム・スタジオ/©Cineric Creative / NHK / Pystymetsä / Point du Jour/全国順次公開中
