新作『デーヴァラ』をよりディープに楽しむために

 タラクさんが「アクションだけでなく、ダンスもドラマもたっぷりで絶対楽しんでもらえる作品」という『デーヴァラ』。水中アクションや超絶技巧ダンスは既に話題になっているが、発売中の「週刊文春CINEMA2025春号」ではタラクさんのオンライン・インタビューを掲載したが、紙幅の都合で載せられなかった、本作をよりディープに楽しむための3つのキーワードをタラクさんの解説を交えてお届けする。

『デーヴァラ』 ©2024 NTR Arts. All rights reserved

【キーワードその1:音楽】

 本作の音楽監督はタミル語映画界出身のアニルド・ラヴィチャンダル。日本では『マスター 先生が来る!』(2021年)や『JAWAN/ジャワーン』(2023年)などで知られている。

「アニルドは今インドで最も熱いミュージシャンで、これからグローバルに活躍する才能の持ち主。エド・シーランがバンガロール公演で(作中のロマンティックな楽曲)『Chuttamalle(チュッタマーレ)』のシンガー、シルパ・ラオをゲストに招いてデュエットしたのを知っている? 会場はすごい盛り上がりだった。ぜひ動画を検索してみて(笑)。音楽は言葉を超え、国を超えるパワーを持っている」

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 ぜひ映画館の音響で『デーヴァラ』の音楽世界を味わってほしい。

【キーワードその2:台詞】

 テルグ映画界では伝統的に台詞術が重視されてきた。タラクさんの祖父NTRや『ヤマドンガ』(2007年)で共演したモーハン・バブ(「台詞の王様」という愛称で知られる)などが有名だ。テルグ語が分からない筆者だが、タラクさんの演技で心を動かされて涙した経験がある。それほどタラクさんの表現力、キャラクターの感情を“伝える力”は優れているのだ。過去作品の『アラヴィンダとヴィーラ』(18年)ではラヤラシーマ方言、『RRR』ではテランガーナ方言の台詞が話題をよんだが、本作でチャレンジしたのは沿海アーンドラ方言。

『デーヴァラ』 ©2024 NTR Arts. All rights reserved

「監督は脚本家出身で台詞にこだわりを持っている。一緒に舞台であるラトナギリ(アーンドラ・プラデシュ州とタミル・ナードゥ州の州境にある地域)の地方色を出しつつ、お客さんが理解できるようにアクセント等を工夫した。演じてみて改めてインドには多様な文化や伝統があることを感じ、インド人である誇りを感じた」

コラターラ・シヴァ監督 ©文藝春秋

 しかも日本語字幕はインド映画ファンに熱い支持を受ける藤井美佳(字幕翻訳)・山田桂子(字幕監修)コンビ。屈強な男たちに恐怖を呼びおこす脅しから村人とのコミカルなやりとりまで、タラクさんの台詞を堪能しよう。