プロスケーターの羽生結弦氏が到達した「262の法則」とは――。ここでは、「文藝春秋」2025年7月号に掲載された記事を一部抜粋して紹介する。
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求める情報も求めない情報も、簡単に目に入る時代になりました。インターネットが急速に普及し、SNSで誰でも発信できるようになった一方で、フェイクニュースが溢れ、災害時にはデマが拡散される。容易に「つながり」を持てるからこそ、何を信じたらいいかが分かりづらい世界になったと思います。
「つながりたくない」と思うとき、問題の根本は「つながること」自体より「つながり過ぎること」にありそうです。情報や評価に振り回され、自分を見失う不安を抱く人が増えているのかも知れません。僕にとっても、無縁ではないテーマです。
プロスケーターになり、この夏で丸3年。これまでとは全く違う世界で挑戦している実感があります。競技者として過ごした18年はある意味、点数に一喜一憂する時代でした。演技の「善し悪し」は、ジャンプやスピンという技術的要素が反映された点数で決められていた。
いま僕が立つ舞台では、善悪の判断は観る人の価値観に委ねられます。ルールや点数に縛られない「自由」は、創作意欲を一層掻き立てますが、怖さも伴う。評価の中身が点数から観る人の言葉や感情に置き換わり、「本当に善いものを届けられているか?」「期待に応えられているか?」と、自問することが増えました。
不安と向き合い、辿り着いた法則の一つに「262の法則」があります。
※本記事の全文は、「文藝春秋」7月号、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(羽生結弦「羽生結弦 『262の法則』発見」)。
■スペシャル企画「つながらない 新生活様式」
「262の法則」発見▼羽生結弦
人生のプライオリティを決めた▼星野佳路
アプリ、みじん切り、遠回り▼佐野亜裕美
荒れ果てた庭で闘う▼國分功一郎
独り仕事もカレンダーに記入▼安達裕哉
SNSはアバターにやらせる▼橘玲
返信が読書を妨げる▼三宅香帆
スマホを置いて3泊4日旅▼ふかわりょう
頑張って返信しない▼角田光代
劇場空間で頭を活性化する▼冨山和彦
だから僕はカフェに行く▼鈴木俊貴
スマホゲームに我を失う▼東畑開人
誠実な社交を取り戻す▼千葉雅也
店じまいのテクニック▼朝井リョウ
「気」のいい場所に行く▼鈴木おさむ
家にパソコンを置かない▼小島秀夫

