私がスマホを置いて旅に出たのは、3年前の秋。
ポケベルからケータイに変わり、やがてスマホを手にするようになると、液晶画面に目を向ける時間が極端に増えました。
飲食店を利用する際、それまではレコードのジャケット買いのように、暖簾や佇まいから自分の嗅覚で判断していたのに、グルメサイトのレビューを見てから入るようになりました。失敗したくない。結果、失敗を許容しない社会になりました。
世の中を、この小さな窓から覗くようになりました。我々の生活にスマホが介在するようになりました。
スマホが与えてくれたものもあれば、奪ったものもあります。その一つが、ぼーっとする時間です。
授業中、ぼーっとするなと𠮟られましたが、実は、あの時間って大事だったのではないでしょうか。脳を休めたり、頭の中を整頓したり。退屈な時間も必要なのです。スマホもぼーっと眺めているかもしれませんが、情報を浴びるのと、車窓や河川を眺めるのは違います。焚き火が流行るのは、脳を休めたい人が多いからではないでしょうか。
スマホを悪者にしたくありません。文明の利器。その恩恵は計り知れません。なのに人類は、いつも使い方を誤ってしまう。
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