父は昭和初期、「あゝ玉杯に花うけて」などの作品で圧倒的支持を受けた作家、佐藤紅緑(さとうこうろく)(1874―1949)。兄は「リンゴの唄」などで知られる、昭和の大詩人サトウハチロー。佐藤家の波瀾万丈ぶりを小説『血脈』に描いた作家の佐藤愛子(あいこ)氏が見た、父と兄。
父はよく、母にこういっていたという。
「八郎は俺にそっくりだ。見ているとゾッとする。何もかもそっくりだ」と。

八郎は佐藤家の4人の不良息子の長男で、子供の頃から目から鼻へ抜けるような悧口な子だと一目おかれる一方、手のつけられない悪戯者、次々とわるさを考え出してはすぐに実行するので、出入の人から「猛烈」という渾名(あだな)をつけられていた。
来客の靴を隠す、中折帽を踏み潰しておく、カンシャク玉を投げる、パチンコで追いかけ廻すというふうで、お客はみな、
「猛烈はいるかい? いない?…それはよかった」
といって安心して上に上ったそうだ。
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source : 文藝春秋 2007年2月号

