『火宅の人』を筆頭とする数々の文学作品を世に送った、戦後を代表する無頼派作家・檀一雄(だんかずお)(1912―1976)。長女・ふみ氏は、父のある言葉で、女優の道に進むことを決めた。
晩年、父は「文藝春秋」に、「娘と私」という短いエッセイを寄せている。
「(親に)あんなこと書かれたら、(ボクは)役者から足を洗ってたかもしれないなぁ」
仕事場でお会いした石坂浩二さんから、しみじみと言われて、うかつな娘は、父がそんな文章を書いていたことをはじめて知った。
これが、いま読むと、なかなかの名文である。私がこういう駄文を書き連ねるより、まるごとそっくりここに再録したほうがいいかもしれない。

「いま読むと」というのは、当時の私は、石坂浩二さんのように「しみじみ」と感動できなかったからである。(フン、またまたええカッコしちゃって)と、どこかしら斜めに見ていた。
父がまず書いていたのは、役者という道を選んだ娘に対する、「肉感をくすぐるような」戸惑いだった。
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source : 文藝春秋 2007年2月号

