汚職もせず賄賂も必要ないAIへの信頼は厚い
スマートフォンで支払いができる、QRコード決済が日本で広まりつつある。昨年12月にはソフトバンクグループとヤフージャパンが手がける決済アプリ「PayPay」が100億円キャンペーンを実施し、話題となった。
この新しい決済方式は中国が元祖だ。利用者はすでに5億6600万人を超えた(昨年6月末時点、中国インターネット情報センターの統計)。「中国では財布を持ち歩かない人が増えている。キャッシュレス社会だ」との報道を目にした人も多いだろう。
日本もようやくキャッシュレス化に向けて動き出したが、中国ではさらにその先を目指す動きが始まっている。
上海市の生鮮スーパー「盒馬鮮生」では、先駆的な買い物体験を提供している。セルフレジ方式で、客は自分で商品をバーコードリーダーに通していく。支払いはレジについているカメラに自分の顔を映して認証するだけ。それだけで代金は事前に登録しておいた電子口座から引き落とされる。もはやスマートフォンすら要らない、手ぶらで買い物ができるというわけだ。
なにせ中国は人が多い。スーパーのレジは絶望的なまでに長い行列ができることがよくあるが、セルフレジと顔認証ならば、流れも速い。
この顔認証決済はAI(人工知能)の画像認識技術によって可能となった。目の前の人物が誰なのか、また別人の写真をカメラにかざしてごまかそうとしていないかを高い精度でチェックすることができる。
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source : 文藝春秋 2019年3月号