安倍総理よ、驕るなかれ

延命しかない解散は日本政治史の禍根となる

佐々木 毅 日本学士院長
ニュース 政治

十年先を見て政策を進める——

その絶好の機会を放棄したことが、私は残念でならない

安倍氏 ©文藝春秋

 十一月十八日夜、安倍晋三首相は記者会見を開き、消費税率一〇%への再引き上げを一年半先送りするとともに、「国民の判断を仰ぎたい」として、衆議院を解散することを表明しました。

 私は、この会見の生中継をテレビで見ながら、率直に言って残念でなりませんでした。十月末頃から解散の噂があったとはいえ、「まさか」と思っていました。「まさか、あってはならない」と思っていたことを安倍首相が選択したという事実が残念だったのです。

 安倍政権の個々の政策にはいろいろ意見もありましたが、大いに期待していた点もありました。それは、政治と国民が長期的な「時間軸」を共有し、五年から十年先を見越した政策を進める前例と習慣を作ってもらいたい、ということでした。

 安倍首相は二〇一二年の総選挙で、総議席数の三分の二を超える三百二十五議席を与党で獲得し、翌年夏の参議院選挙にも勝利して、衆参のねじれも解消していた。衆院の任期は二〇一六年の十二月まである。一六年に入ればさすがに解散が視野に入ってくるとしても、それまでは政策実現に大いに邁進できる、日本政治にとって誠に希少な“黄金の時間”を手にしていたのです。

 毎年のように行われる国政選挙、衆参のねじれから一向に進まない政策論議、毎年変わる総理大臣……日本国民は、この国の政治を、あの時代に戻したくないと切望していました。

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source : 文藝春秋 2015年01月号

genre : ニュース 政治