第170回芥川賞受賞者インタビュー 九段理江「趣味の筋トレは三島由紀夫がきっかけです」

エンタメ 読書 芥川賞

受賞のことば 九段理江

 2002年秋、霞が関ビルの宴会場に、「優秀な作文を書いた埼玉県の6年生」のひとりとして、私はいた。ご馳走を食べさせてもらいながら、「この中に将来の芥川賞作家がいるかも」と、毎年子供のサインを集めて回っているおじさんの手帳に、私も名前を書いた。

 埼玉に帰るバスの中で、大人が子供たちにマイクを渡し、順番に将来の夢を言わせた。「無理して『小説家』って言わなくていいからね」との前振りで始まったこの余興に、無理をする子供はひとりもいないまま、最後にマイクを渡された。

 小説家になりたいなんて思ったことはなかったのに、ひとたび口にしたらきっと何かとんでもないことが起こる予感もしていたのに、その状況で私はそれを言わないわけにはいかなかった。予感は当たった。

〈略歴〉

1990年埼玉県浦和市(現さいたま市)生まれ。2021年「悪い音楽」で第126回文學界新人賞を受賞しデビュー。

 受賞者インタビュー 九段理江

九段理江氏 ©文藝春秋

小説家になろうと思ったことはないんです

 ——受賞翌日のインタビューになりますが、昨日の今頃(15時)は、どう過ごされていましたか。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

12,000円一括払い・1年更新

1,000円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
雑誌プランについて詳しく見る

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2024年3月号

genre : エンタメ 読書 芥川賞