「カミンスカスは5億円をマンションに隠した」。地面師を知るブローカーはそう語った
昨年4月に初めて手紙が届いてからおよそ1年が経った。この間、カミンスカス操から届いた書簡は、17通にのぼっている。
〈私は地面師グループに騙され踊らされたのです。元々エマイユの横澤(太田)に騙された物件だった……〉(2024年4月25日消印)
当人は最初の便りからそう告発し、東京・銀座のアパレル業者「エマイユホールディングス」のオーナーだった横澤弘人(仮名)が、事件のキーパーソンであるかのように主張し続けている。地主のなりすまし役である羽毛田正美らと通じ、カミンスカスを取引に引き入れた張本人である。もっとも前号に書いたように、肝心の横澤自身は積水ハウスが被害に遭った海喜館(うみきかん)事件後に企業の乗っ取り詐欺容疑で刑事告訴され、現在、行方をくらませている。そのエマイユの横澤について、事件を捜査した警察幹部に聞くと、非常に含みをもった言い回しをした。

「捜査は地面師の専門班が担当しました。横澤は最初の頃に出てきたと記憶しています。しかし正直に言って、彼がそこまで本件に関与しているとは把握していませんでした。積水ハウス事件はあまりに関係者が多く、明確ではないですけれど、横澤は事件の途中で消えてしまったような印象です」
改めて捜査を振り返る。
「ただし、横澤がわれわれに見えないところで、うまく逃げ切った可能性はあります。積水ハウス事件は他の地面師事件に比べても、逮捕後に起訴できた被疑者の割合が高い。けれど、たとえば口座を用意した北田文明などは起訴できなかった。事件捜査の抜け落ちが完全になかったか、と問われると、微妙なところがあります。カミンスカスの証言なので100%信用できないにしても、横澤が事件にかなり関与していた可能性は否定できません」
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source : 文藝春秋 2025年6月号