現在まで84代も続いている名家とは?
では、王家以外でライバルはいるか。日本に限れば、大名家のほとんどは戦国時代にのし上がってきた家で、鎌倉、室町時代からの名家もいくつかあるが(薩摩の島津家や熊本の細川家など)、とても比較にならない。公家の代表である藤原家でさえ、歴史上その存在がはっきりわかるのは藤原鎌足が最初で、第38代の天智天皇の側近。それ以前の豪族、蘇我氏や物部氏も、子孫を名乗る家はあるが、早い時期に歴史の表舞台から姿を消した。
しかし、天皇家と同じく、神話的存在から現在まで84代も続いている名家がある。それが出雲国造(いずもこくそう、または、いずものくにのみやつこ)家。南北朝時代に千家(せんげ)家と北島家に分かれたが、古代の官制である「国造」を名乗り続けた家で、千家家は現在、出雲大社の宮司家でもある。明治時代の当主、尊福(たかとみ)は司法大臣などを務めた政治家でもあり、男爵を授かっている。現在の当主は尊祐(たかまさ)氏で、出雲大社宮司および第84代の国造である。
2014年、皇族の高円宮家の典子女王が、尊祐氏の長男、国麿氏と結婚した。国麿氏は出雲大社の権宮司。いずれ第85代の国造を継ぐと見られている。天皇家と出雲国造家の結婚。まるで「記紀」の時代が目の前に現れたかのようだと話題になった。
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