「『自助』の充実を行っていく必要がある」
金融審議会市場ワーキング・グループ
「各々の状況に応じて、就労継続の模索、自らの支出の再点検・削減、そして保有する資産を活用した資産形成・運用といった『自助』の充実を行っていく必要があるといえる」
金融庁ホームページ 5月22日
金融庁は3日、人生100年時代を見据えた資産形成を促す報告書をまとめた。平均的な高齢夫婦の場合、公的年金などでは毎月約5万円の赤字が続き、退職後の30年間で2000万円不足するとの例が示されている。
5月22日に公表された報告書の原案では、老後の生活費について「かつてのモデルは成り立たなくなってきている」と指摘。年金についても「(水準は)中長期的に実質的な低下」「公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある」とはっきり示していた(3日に発表された報告書ではこうした表現が曖昧になっている)。また、金融商品などを購入して資産形成するなどの「自助努力」の必要性が強調されており、ネットなどで批判を浴びていた。
麻生太郎 副総理兼財務相
「100まで生きる前提で退職金って計算してみたことあるか? 普通の人はないよ。そういったことを考えて、きちんとしたものを今のうちから考えておかないかんのですよ」
テレ朝news 6月4日
金融庁が退職後に2000万円が不足する例もあるとして、若いうちから資産運用が必要と報告書をまとめたことを受けての発言。麻生財務相が「考えておかないかんのですよ」と言うときの言葉の主語は「我々」や「政府」ではなく、「国民」である。つまり、俺たちゃもう知らん。お前たちにゲタを預けた、ということだ。
年金支給額は明らかに減る。非正規雇用が増えて、正社員でも終身雇用されないので退職金も減る。もはや国民は「自助努力」をしなければ生きていけない社会になりつつある。その原因を、女性が「わがまま」で子どもを産まないからだと考えている政治家が少なくないのではないだろうか。桜田氏の発言からは、そのことが透けて見える。