現在のウルトラマンシリーズ人気を不動のものにした、“第3次ウルトラマンブーム”という現象が1978~1980年にかけてあった。凄まじい人気で、関連書籍は軒並みベストセラー。リバイバルで発売されたウルトラマンと怪獣たちの人形は飛ぶように売れた。その渦中にあって、“酔っぱらってくだを巻く(帰ってきた)ウルトラマン”の姿を漫画で描き、一躍当時のウルトラマンファンの少年たちの心をわしづかみにした漫画家がいた。その名は、かたおか徹治。
今回、その名シーンが描かれた傑作『ウルトラ兄弟物語』が電子書籍で復刻される。また、この作品でも他の兄弟たちと共に活躍するウルトラマンタロウの息子・タイガの活躍を描く新作TVドラマ『ウルトラマンタイガ』も7月6日よりテレビ東京系でスタートする。それらを記念して、かたおか先生に、約40年ぶりに『ウルトラ兄弟物語』をプレイバックしていただいた。
ウルトラマンというモチーフで描いた“人間ドラマ”
『ウルトラ兄弟物語』では「酒に酔ったウルトラマン」や「若気の至りでセブンを挑発するタロウ」など、人間臭いウルトラマンが多数登場する。
――内容や展開は先生ご自身がお考えになったのですか?
かたおか 当時はテレビ放映もなかったので、編集担当の平山隆さんと話し合いながら自由に描かせていただいた覚えがあります。その前に内山まもる先生の『ザ・ウルトラマン(原題は『さよならウルトラ兄弟』)』を「小学三年生」(小学館)で連載(’75年4月~’76年3月)していて、それの人気が高かったと思うんです。
「コロコロコミック」(小学館)でその再録連載をしたらまた人気が出て、『ザ・ウルトラマン』のお陰で我々も色々やらせていただきました。内容には、平山さんのご意見がかなり反映されています。ある程度、路線は最初から決まっていたようですし、僕自身も描いていてすごく楽しかったんですよ。元々「人間ドラマを描きたい」と思っていたので、僕としてもとてもメリットがありました。